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【53号】マルキチ食品(株)との出会い

2005年01月01日

北海道大学水産学部 助教授 安井 肇氏

 

 私の専門は海藻の生物学が中心です。海藻が、人類や自然環境にどのような影響を与えるかということを中心に研究を行っております。


 2003年4月まで、同友会函館支部には昆布研究会があり、その研究会のメンバーからお誘いを受けて私もメンバーに加えて頂きました。その昆布研究会での活動を通じて、マルキチ食品㈱の金子社長さんとお知り合いになりました。

 

ガゴメ昆布の特徴


  函館では今まで、真昆布ばかりが注目され、ガゴメ昆布は流通にも乗らず、邪魔者扱いされていました。しかし、このガゴメ昆布が最近注目されるようなっています。文部科学省の産官学連携事業の一つである「ガゴメのライフサイクル操作等の開発研究」に金子社長さんと一緒になって、資源の増産や付加価値のある商品化に現在取り組んでいます。

 

海藻の重要な役割


  ここ3~40年間の間に世界中の沿岸でかなりの自然が破壊され、そこに棲む様々な海の生物が少なくなってきています。


 生態系の中においても、海藻にはとても重要な役割があります。海中に森を形成し、魚や貝、エビなどの動物が集まったり、太陽光で光合成を行い、環境に優しい仕組みを持つと共に人類にとっても有効な食べ物としての役割を持っています。海藻は真昆布だけあればいいと言われる方もおりますが、様々な生物が生活する自然というのはそれぞれが互いに密接に関係しあって生命の循環が繰り返されます。


 この生態系が崩れると海岸の耐性というものもなくなり、ちょっとした気象の変化で私達人間にも大きな影響を及ぼすようになります。真昆布だけ、イカだけ取れる環境というのはもろく、すぐに駄目になります。

 

持続可能な産業をめざして


  今までの日本の大企業の行動に見られた、売れるときには、大量に資源が枯れるまで使い尽くし、その資源が無くなると他の場所へ転々としていくような大量生産・大量消費・大量廃棄のシステムではなく、その地域にある資源に着目し、既存のものや施設をうまく活用し、互いに連携しあいながら、生態系に無理をかけずに100年も200年も続いていく、持続可能な産業づくりが大切です。ぜひ、これから中小企業家同友会の皆さんが中心となって、この課題に取り組んでいっていただきたいと思います。

 

(2004年11月4日 第23回全道経営者「共育」研究集会第10分科会での報告より 文責 畠山)

 

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