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【53号】昆布巻きを世界へ!2004年モンド・セレクション金銀ダブル受賞

2005年01月01日

マルキチ食品(株) 代表取締役 金子 宏 氏

 

社員が自主的に学ぶには


  今まで我が社では、若手の社員の採用を続けてきました。その結果、現在の我が社の社員の平均年齢は25・7歳です。そして、私はこの若手の社員がどうしたら自主的に勉強するようになるだろうかと、試行錯誤を繰り返してきました。色々な本や雑誌を買って会社に置いておき、「いつでも家に持って帰って自由に読んでいいよ」と若い社員に言ってみても、全然本を持って帰る気配もありません。たまに、めずらしく本を持って帰った人に後で感想を聞いてみると、実は全然読んでいなかったりと失敗の連続でした。


 しかし現在では、毎日仕事が終わった後に、残業代や夜食を用意するわけでもないのに、それぞれが自主的に勉強する習慣が付いています。


 どうしたら勉強してくれるのか、私の試行錯誤した結論から言いますと、今の若い人に目標を与えると猛然と勉強するようになります。


 我が社では5年経過した社員は全員、海外に行って色々なものを自分の目で見て味わってきてもらっています。昨日の工場見学の案内をしてくれた工場長にも、中国の工場に行かせました。研修を終えて帰ってきた時、工場長は中国の工場で働いている社員に、「作業をする前に手を洗いなさい」という日常会話くらい中国語で話したいという思いを持って帰ってきたそうです。それから彼は、お昼休みに中国語の本を読んで勉強するようになりました。そして、その勉強する姿を若い社員達はしっかりと見ていて、私が「今度、みんなにも交代で中国に行ってもらうよ」という話をしただけで、若い社員達は自分たちで自主的に中国語を勉強し始めました。あまりにも勉強するので、「本当に勉強したいなら、授業料各自半分負担で思い切って先生を呼んできてもいいけどやる?」と社員に聞いたところ、「やりたい」という社員が多数手を上げたので、実現させました。社員はみんな、「この勉強は自分の為になる」と判断したと思います。


 そのような時期に偶然、ISO9001やHACCP取得の話もあり、「みんなで勉強して取得しよう」と取り組み始め、取得することができました。

 

いかに工場を見にきていただくか


  私の会社には「営業」は1人もおりません。あえていうとすれば私1人だけです。


 私は今は、商品を売り込みに行く時代ではないと思います。いかにお客様やバイヤーに函館に、そして自社の工場に来ていただき、一生懸命やっている社員や工場を見ていただくかということに取り組んでいくべきだと考えています。


 商談に行くと10分が限度ですが、来ていただくと丸1日一緒にお話が出来るのです。この差は本当に大きいと思います。


 今、トレーサビリティと騒がれていますが、バイヤーの方に来て頂いて「この昆布を使って、この工場で、この社員が、この昆布巻きを作っています」といことを実際に見ていただくことが求められるようになるでしょう。

 

将来へ向けた我が社の取り組み


  我が社の社員は辞めません。しかし、このままいくと5年後には社員の平均年齢が30歳になってしまいます。若さを保つためには違う仕事を作っていく必要があります。そこで、先程、安井教授よりお話があった、ガゴメ昆布を使った製品づくりを行っている㈲バイオクリエイトという会社に自社の社員を送り込み、商品化に向けた研究・開発に取り組むとともに、今は「昆布チョコレート」づくりにも取り組んでもらっています。


 この仕事づくりと同時に、若い社員には毎年ワンランクアップの仕事を与えていかないと、やる気を失ってしまいます。昨日、工場の案内をしてくれた社員には現在、その昆布チョコレートづくりへの挑戦を任せ、東京に勉強に行かせています。常に新しい仕事を与えながら、ワンランクアップの仕事をしていけば、今後もなんとか経営していくことができるのではないかと思っております。

 

(2004年11月5日 第23回全道経営者「共育」研究集会第10分科会での報告より 文責 畠山)

 


 

【会社概要】
創 業 1955年
資本金 4,200万円
社員数 58名
業 種 昆布巻き、松前漬、その他佃煮全般

 


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