代表理事挨拶
代表理事 藤井 幸一
(サンマルコ食品株式会社 代表取締役会長)
北海道中小企業家同友会は「孤独な経営者をなくそう」を合言葉に掲げ、1969年11月にわずか34名の会員で設立されました。それから半世紀あまりが過ぎ、会員数は5,700名を超える経営者団体へと成長を続けています。
私たちは「よい会社をつくろう、よい経営者になろう、よい経営環境をつくろう」と3つの目的に向かい自主・民主・連帯の精神で国民と地域とともに歩む活動を進めています。
この激動・大変な難局を、経営者としてどんなことがあっても乗り越えなければならない。その責任を果たそうと日夜奮闘していると思います。同友会は安心して経営の悩みを語り、お互いの経験から学びあう場です。私自身、先輩経営者から経営者としての覚悟や、社員と共に育ち合う「共育」の考え方などを学んできました。
同友会はこれからの企業経営を考える羅針盤です。時代が大きく変化する時だからこそ同友会で学びあって参りましょう。
代表理事 池川 和人
(株式会社ティーピーパック 代表取締役)
2023年。今年の経営課題は、収束しないコロナ禍と円安・物価高騰の荒波、そして労働力不足と人材難という問題が持ち越しとなり、その対応が一層重要となっています。
中小企業を取り巻く環境は厳しいものがありますが、北海道同友会は創立以降、地域にアテにされる企業づくりを目指し、喫緊の課題や事業継承、人材確保と定着・育成などについて会員の経営実践をふまえたリアルな学び会い活動を続けてきました。コロナ禍を経て新常態となった今、中小企業らしいICT活用やDXの可能性を探り、企業変革につなげて行く必要があります。
中小企業の元気は地域の元気に直結し、企業と地域を次につなぐ責務が私たち中小企業家にあると考えています。
代表理事 渡辺 美智留
(岩見沢液化ガス株式会社 代表取締役)
「よい会社をつくる。よい経営者になる。よい経営環境をつくる。」同友会理念のひとつである三つの目的に惹かれて入会してから16年。素晴らしい会友の皆さんとの出会いと学びがあり、同友会に育ててもらい支えてもらって、いまの私が在ると感謝しています。そのお返しをするにはまだまだ力不足ですが、代表理事という名札を下げつつ、皆さんと共に悩み、学び、歩んで行けたら…と考えております。
同友会の学びは、座学・机上のものではなく、実践してこそ価値と成果が生まれるものです。いざ実践となると、決して簡単にはいかないことも多々ありますが、多くの仲間が日々の努力を積み重ねて、社員と共に素晴らしい会社を創り上げ、地域に貢献し、幸せを生み出している姿から、私はいつも勇気と力と励ましを頂いています。
背伸びをして世界を見ても、自分たちのすぐ足元を見ても、不安定で先が見通せない、しかも流れは急で荒い…そんな時代の中で、同友会そして皆さんと出会えたことに深く感謝しながら、輝く未来への道をご一緒させて頂きたいと願っております。
企業にも経営理念があるように同友会にも同友会運動の歴史の蓄積の中で培われてきた同友会理念と呼ばれるものがあります。理念とは「理性によって到達する最高の概念」(広辞苑)の意味ですが、会の目的、性格、基本となる考え方を総称するものです。
今日、同友会理念と呼ばれる内容は次の3点にあらわすことができます。
- 『同友会の3つの目的』
- 『自主・民主・連帯の精神』
- 『国民や地域と共に歩む中小企業をめざす』
同友会3つの目的
- 【よい会社をつくろう】
同友会は、ひろく会員の経験と知識を交流して企業の自主的近代化と強靭(じん)な経営体質をつくることをめざします。
- 【よい経営者になろう】
同友会は、中小企業家が自主的な努力によって、相互に資質を高め、知識を吸収し、これからの経営者に要求される総合的な能力を身につけることをめざします。
- 【よい経営環境をつくろう】
同友会は、他の中小企業団体とも提携して、中小企業をとりまく、社会・経済・政治的な環境を改善し、中小企業の経営を守り安定させ、日本経済の自主的・平和的な繁栄をめざします。
自主・民主・連帯の精神
同友会運動は、「自主・民主・連帯の精神」で3つの目的をめざしてすすめられています。自主・民主・連帯の立場を離れては、3つの目的が高邁であれ、活動の中味がきめ細かであれ、最終的には足なみが乱れ、あげた成果も消し飛んでしまうおそれがあります。
- 【自主】 自主というのは二つの意味を持っています。一つは、同友会はほかのいかなるところからも干渉や支配をうけないということです。もう一つは、入会も退会もまた行事への参加についても会員経営者の自主性を大切にするということです。つまり、会の主体性を守るということと、会員の自由選択権を保障するということです。
- 【民主】 民主にも二つの意味があります。一つは、会の運営を会員の要求や意見に基づいて行い、ボス支配がおこらないようにするということです。もう一つの意味は、民主的なものの見方や考え方を積極的に広めていく、とりわけ企業内で実践していこうということです。このことによって組織の自浄力は強化され、発展が保障されます。
- 【連帯】 連帯は、会員同士の腹を割った裸でのたすけあいと、あらゆる階層の人たちと手をとりあっていく、外へ向けての融合、協力、団結をすすめる意味とがあります。特に会内においては、経営者として全人格的完成をめざしての相互の高まりあいから生まれる深い信頼関係(高い次元でのあてにしあてにされる関係)が連帯の中身となります。
国民や地域と共に歩む中小企業
同友会がめざす「国民や地域と共に歩む中小企業」とは、企業活動で豊かな国民生活の実現に貢献していくものであること。
また優れた製品やサービスの創造、提供を通じて人々の暮らしの向上と地域経済の繁栄につくすことです。
同友会はそれぞれの地域において、地域経済の活性化に積極的に提言し、行政機関、経済団体、金融機関、教育・研究機関、市民団体と連携し、地域おこしを共に進め、国民一人ひとりの幸せを大切にする経済社会をつくっていくことをめざしています。
私たちが大事にしていること
- 会員間取引の3つの申し合わせ
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- 1.同じものを買うなら会員企業から、会員にはなるべく安くて、良いものを提供する。
- 2.率直に希望を出しあい、仕方なくお義理で取引するのはやめ、お互いに利益は保障する。
- 3.取引を通じて、会員同士の“友情”と“信頼”がいっそう深まるよう努力する。
- 運営にあたっての心がけ
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- 1.会員の要求は、どんなに小さくとも必ずとりあげ、成果は全会員のものになるようつとめる。
- 2.会員の自主性を尊重し、知りあい、学びあい、援けあいを日常的に追求する。
- 3.会員の思想、信条、企業の大小、会員としての経歴、社会的な地位に関係なく、会員は対等平等であり、それぞれの立場から自由に発言できる雰囲気を保障する。
- 4.身近な問題を軽視せず、大きな課題を諦めず“早く”と“粘り強く”を織り込んで活動をすすめる。
- 5.ボス支配を絶対にさけ、全会員が運営に参加するよう細心の注意を払う。
- 6.他団体との交流も積極的に行い、要求や目的で一致できる点では手をとりあい、縄張り主義に陥らない。
- 7.決定は“全員一致”をたて前とし、十分に論義をつくす。
- 8.個人の政党支持、政治活動の自由を保障し、会員が政治に関心をもつことは大いに結構だが、同友会としては、一党一派にかたよらない。
同友会の沿革
北海道同友会の設立
1969年春頃から、故 井上良次氏(元代表理事)等を中心として、小樽と札幌の経営者数人が、労働組合、社員教育などについて定期的な情報交換の夕食会をもっていました。
そこへ、「東京、大阪、神奈川、名古屋、福岡に中小企業家同友会という会があって、ザックバランに経営上の悩みを話し合っている。そろそろ全国協議会をつくりたいのだが北海道にもつくらないか」という話が、書籍、石油業界のルートから持ち込まれました。
出張のたびに各地から同友会の資料をあつめてきて、みんなで調べてみると、いままでやってきた夕食会と活動の中味は同じようなものでした。「北海道がないと全国協議会というかたちにならないので、趣旨をのみ込んで貰えるならなるべく早くつくってほしい」と催促され、「人数が少ないほうが面倒でなくてよいようにも思うが、自分たちだけでいい思いをしているのもエゴになってしまう。いままでのグループを発展させるかたちで同友会をつくろう。そうすれば日本中の経験も吸収できることになるのだから」ということで、1969年7月22日準備会が発足しました。準備会でどういう会をつくるのかが討議され、次の4点が確認されました。
(1)個々には勿論、同業組合では解決できない悩みを語り合い、激励し合う同友会。
(2)会員の一人ひとりが近代経営に脱皮し、隆盛になる道を探求し合う同友会。
(3)金融、税制、労務、法律、貿易などの経営問題や、時事問題の講演会・研究会の他いろいろの懇談会や経済交流を行う同友会。
(4)あらゆる中小企業団体と提携して、中小企業の当然な要求を声を大にして訴える同友会。
こうして、同友会づくりは動き出しましたが、「会をつくるのは良いが、組織づくりにばかり片寄るとうまくいかない」と話し合われ、“幹部の育成”“賃金体系と教育制度”“流通構造の激変に備えて” などをテーマに、毎月一回の例会を開いていきました。
こうして、1969年11月22日、札幌第一ホテルで創立総会を開催、30名ほどで北海道同友会が誕生しました。
北海道同友会の沿革
年 |
できごと(緑字は全国の動き) |
1947年 |
全日本中小工業協議会(全中協)結成。のちに全日本中小企業協議会に改称。同友会の前身となる |
1957年 |
日本中小企業家同友会(現 東京中小企業家同友会)創立 |
1969年 |
中小企業家同友会全国協議会(中同協) 設立 |
11月22日 北海道中小企業家同友会 創立 |
1971年 |
函館支部 設立 |
1972年 |
第4回総会で「知り合い、学び合い、援け合い」が合言葉に |
全国初の中小企業による共同求人活動が始まる |
1973年 |
「同友会3つの目的」 確立 |
小樽支部(現 しりべし・小樽支部)設立 |
1974年 |
旭川支部(現 道北あさひかわ支部)設立 |
1000名会員達成 |
1975年 |
中同協「中小企業における労使関係の見解」(労使見解)を発表 |
釧路支部(現 くしろ支部)設立 |
帯広支部(現 とかち支部)設立 |
第1回合同企業説明会開催 |
1977年 |
南空知支部 設立 |
帯広市に東北海道センター開設(現・とかち事務所) |
旭川市に旭川センター開設(現・道北あさひかわ事務所) |
2000名会員達成 |
1978年 |
苫小牧支部 設立 |
函館市に函館センター開設(現・函館事務所) |
1979年 |
西胆振支部 設立 |
第1回全道青年経営者“共育”一泊交流会 開催。(以降、全道青年経営者“共育”交流会として第6回まで開催) |
1980年 |
3000名会員達成 |
1981年 |
同友会大学 開講 |
1982年 |
北見支部(現 オホーツク支部)設立 |
1983年 |
中標津支部(現 くしろ支部)設立 |
4000名会員達成 |
1984年 |
根室支部(現 くしろ支部)設立 |
1985年 |
全道青年経営者“共育”交流会を「全道経営者“共育”研究集会」と改称し、毎年各地持ち回りで開催。通称「道研」 |
1987年 |
5000名会員達成 |
1989年 |
帯広支部で農業経営部会が誕生 |
1990年 |
中同協、同友会理念(3つの目的、自主・民主・連帯の精神、国民や地域と共に歩む中小企業)を定式化 |
1992年 |
全国4万名会員達成 |
1993年 |
中同協第25回定時総会(札幌開催)で「21世紀型中小企業づくり」を宣言 |
2002年 |
北海道議会と道内212市町村議会で金融アセスメント法法制化に向けた意見書を採択。北海道同友会では法制化に向けた署名を10万筆集める |
2003年 |
中小企業憲章と中小企業振興基本条例制定運動を提唱 |
2005年 |
全都道府県で同友会が設立。 |
2007年 |
道内初の理念型「中小企業振興基本条例」が、帯広市で制定・施行される。以降、同友会の運動により、各市町での制定が相次ぐ |
2009年 |
一般社団法人に改組 |
第37回青年経営者全国交流会(帯広)を開催 |
2010年 |
中小企業憲章が閣議決定 |
現在の札幌市東区に新事務所を取得・移転 |
産学官連携研究会HoPEが経済産業大臣表彰を受ける |
2011年 |
東日本大震災発生。中同協で対策本部を設置。全国の同友会が支援に動く |
中同協第43回定時総会(札幌)を開催 |
2012年 |
北洋銀行・北海道銀行と協力連携協定を締結 |
2014年 |
北川慎介中小企業庁長官を迎えて中小企業憲章セミナーを開催 |
2016年 |
旭川で第19回女性経営者全国交流会を開催 |
2017年 |
『経営指針成文化の手引き』が改訂。『経営指針成文化と実践の手引き』として発刊。 |
2018年 |
北海道胆振東部地震発生。震源地を中心に会員企業にも被害。道内、全国より募金が寄せられ、被災企業にお渡し。 |
2019年 |
北海道同友会 創立50周年(11月22日)・6000名会員達成
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中小企業家同友会全国協議会 設立50周年
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本部・札幌事務所移転(12月) |
2020年 |
新型コロナウイルス感染症の大流行。会合等の開催が制限されるも、ウェブミーティングを活用した会合が徐々に浸透する。 |
2022年 |
北海道中小企業総合支援センターと連携協定を締結 |