【53号】船舶用クラッチメーカーから次世代表示装置の研究用真空機器製造へ
2005年01月01日
(株)菅製作所 代表取締役 菅 育正 氏
我が社はかつて、船舶用クラッチの開発で道内の約6割のシェアを占めていましたが、沿岸漁業衰退により市場が縮小。そこで、平成6年に産学官連携により研究開発用真空装置を開発し、現在では次世代表示装置の研究用真空機器製造などニッチ分野のトップを目指しております。
ゼロからの出発
しかし、実際ここまでくるには相当の苦労がありました。平成6年に真空装置を開発した後、大手真空管メーカーに対してゼロからルート開拓を行ってきました。当時の自社は看板も実績もなく、時には大学の教官の所に飛込みの営業を行う等、地道な努力を約9年間続けた積み重ねにより、現在、多くの仕事を頂けるようになりました。
学習する組織づくりを目指して
自社は、人類・地球環境・科学技術の発展に寄与することが使命と考え、その考えを元に、お客様の要望にあったものをオーダーメイドで製作して提供しております。要望にあったものを作っていくためには、研究者が知っている科学の知識も学んでいかないと、本当に相手の要望を踏まえたものを作り、時には助言をすることはできません。そこで、わが社では、毎年社員全員が自分の興味を持っているテーマで自主的に研究し、論文にまとめ発表してもらう「自主学習」制度というものに取り組んでいます。それと同時に、私たちがどのような部品を作っているかを分かってもらう為の学習等も平行して行っております。
社員のネットワーク力を高める
よく、経営者と社員は問題を解決する能力の差が大きく違うといわれます。それらの問題点を克服できるかどうかの鍵は、ネットワークがあるかないかだと思います。そこで、私はこれからは、社員にも異業種や各関係機関とのネットワークを持てるような仕組みづくりに取り組み、本当にお客様の要望に応えられる集団づくりに向けて取り組んでいこうと思っています。
(2004年11月5日 第23回全道経営者「共育」研究集会第10分科会での報告より 文責 畠山)
【会社概要】
設 立 1946年
資本金 3,400万円
社員数 19名
業 種 船舶用クラッチ、動力伝動装置、研究用真空装置などの設計製作
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