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【53号】大学と中小企業の関わり

北海道大学創成化学研究機構 特任教授 武笠 幸一 氏

 

IMDから見た日本の現状


 IMDという世界各国の総合競争力を調べた統計資料によりますと、49ヵ国の中で上位だった日本は、96年以降順位が下落していき、現在30位、これは台湾や香港より下という状況です。


 この統計資料の中で注目したいのが「科学技術の総合ランク」です。これが日本は2位に位置しております。その理由は、特許の件数や研究開発などへの投資額などが上位を占めているためです。一方、全体で30位になってしまった原因を見ますと、新規の企業開業、大学が国際競争に対応しているか、経営者に企業家マインドはあるか、科学技術への若者の関心はあるかという項目の評価が低く、大学から企業への技術移転が十分に行われていないという事になります。

 

大学と中小企業の役割


 これからの日本の課題として、産業競争力の強化をいかに図るかが課題となります。しかし、今、大学の科学技術を事業化するための仕組みが全然ないというのが日本の現状です。これらの仕組みを作っていくと共に、大学自身が創造力を育てる教育に取り組んでいかないと、今後日本は世界各国に太刀打ちできなくなるのではないかと考えています。


 大学は科学を創造する所で、「知」から「知財」にする仕組みを、少なくとも大学の中にも作っていかなくてはなりません。既に科学の分かっているものの組み合わせ技術は、大学がやるべきではないと思っています。


 大学の科学技術を事業化するにあたって、中小企業は大学にとって本当に大切な存在なのです。大学の近くに、新技術の試作と具現化のできる企業も含めたモノツクリの機関があるということが、今後とても重要になってくるでしょう。

 

なぜ(株)菅製作所が支持されるのか


 私の専門は、スピンの科学といわれるものです。物質の表面に並ぶ原子の1つ1つについてスピンの向きを計測し、それを色分けすることで可視化することに成功しました。この研究の成果から生まれた機器は電子顕微鏡などに活用されています。


 現在では、(株)菅製作所に色々な研究用の機器を作っていただいています。研究用機器を製作する企業の中で、なぜこの会社が生き残れたのか。(株)菅製作所では、新技術への挑戦を掲げ、私達の学生でもなかなか理解できない領域のサイエンスを一生懸命勉強し、理解してくれました。しっかりとした基礎知識を持ち、我々研究者とは違う視点から物事を見て貴重な意見がもらえる。ここがこの企業が支持される非常に重要なポイントです。研究用の機器というのは一緒になって作っていかないと良い製品はできないものなのです。共に作るのだという姿勢、この部分が今後も本当に大切になってくると思います。

 

(2004年11月5日 第23回全道経営者「共育」研究集会第10分科会での報告より 文責 畠山)

 

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