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同友会は、中小企業の繁栄と、そこで働く全ての人の幸せを願い、地域社会の発展のために活動しています。

【71号】代表理事 巻頭言

2023年01月26日

社員と共に、困難な経営課題を乗り切る

北海道中小企業家同友会 代表理事
サンマルコ食品㈱ 代表取締役社長 藤井 幸一

 

 2022年は、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、2月24日にはロシアがウクライナを侵攻、依然多くの無辜の人々が犠牲になる悲劇が続いています。一刻も早い終結を願うとともに、改めて平和の大切さを痛感しています。さらに、これらによって経済への影響は大変大きく、原材料やエネルギー価格が高騰しています。10月には円安が最安値を記録し、我々中小企業の経営を圧迫しています。人手不足も深刻で、まさに5重苦となっています。

 

 しかし、中小企業が様々な困難に直面しても、経営者には経営を維持し発展させる責任があり、それを自覚してその責任を果たそうと日夜奮闘していると思います。共に頑張りましょう。

 

4年ぶりのリアル道研
 10月7・8日の2日間にわたって、第37回全道経営者〝共育〟研究集会with全道青年部・後継者部会交流会in札幌が、4年ぶりにリアル開催で行われました。大変難しい、そして数々の制約がある状況の中、設営にご尽力いただいた札幌支部の皆さんに感謝しています。今回は19の分科会が行われ、私は第13分科会の外国人材の活用について学びました。

 

 いろいろな角度からのお話をいただきました。初めて聞くことや多くの気づきがあり、わくわくするような、やってみようじゃないかと思う勇気をもらう分科会でした。学んだことを実践するのが同友会。ぜひ1つでも2つでも共に実践して参りましょう。

 

困難を「乗り切る」ために
 各地同友会の協議会である中小企業家同友会全国協議会(中同協)の会議のグループ討論でいくつか共通した課題が出されました。①人材難、採用難②倒産・廃業の増加③経営状況の二極化④材料の不足⑤価格転嫁の厳しさ、そして⑥資金繰りです。どれもまさに我々が直面している喫緊の課題であります。そこに今年はインボイス、外形標準課税の見直しの問題も含んできます。会員の皆様は、あらゆる手を尽くしているところだと思いますが、まさに激動の中にいる状況です。

 

 しかし、この激動・大変な難局を経営者としてどんなことがあっても乗り越えなければならない。乗り越えるだけではなく、「乗り切る」というべきでしょう。それぞれの課題を整理し、全社員の力を結集し、乗り切るのです。

 

 さらには経営者と社員が情報を共有し、人を生かす経営を実践しながら、新しい分野への挑戦など新たな可能性を探る努力も必要です。社内の抵抗があるかもしれませんが粘り強く全社員で話し合うのです。

 

 うまくいかなくて悩んだり、困ったならば同友会を活用してください。同友会はそんな仲間が集う会です。困難を乗り切る強靭な企業づくりを今年もすすめましょう。

 

地域からあてにされる企業づくりを

北海道中小企業家同友会 代表理事
㈱ティーピーパック 代表取締役 池川 和人

 

 2023年。今年の経営課題は、収束しないコロナ禍と円安・物価高騰の荒波、そして労働力不足と人材難という問題が持ち越しとなり、その対応が一層重要となっています。

 

発展性のない会社に誰が来る
 「経営者である以上、いかに環境がきびしくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任がある」という労使見解の1丁目1番地をかみしめながら、思い出すのは「発展性のない会社に誰が来るかい!」という鋤柄修中同協元会長の言葉です。『経営者を叱る』という著書もある氏の本質を突いた言葉にハッとさせられ、「経営者気取りの生活習慣病に陥っていないか」という指摘に発奮させられました。

 

 経営者の仕事は社員に会社が発展していることを実感させること。そのためには「学習型企業」をめざそうと決意したのです。

 

新卒採用で会社が変わる
 当社は商品企画やパッケージデザインをする会社として、1990年に5人の共同経営でスタートしました。私は2005年に社長となり、同友会へ入会したのは翌06年です。

 

 以来、経営指針をつくり、共同求人、社員教育と、文字通り同友会で学びながら当社の基本を固めていきました。学んできたことは、社員を変えようと考えるより、まず経営者が変わること。経営指針づくりも、共同求人、社員教育も経営者が先頭に立つこと。そしてこの3つは同時並行で進めるということでした。

 

 新卒採用に取り組んだのは2011年からです。翌春の新卒入社は3名。以来毎年新卒採用を続け、2022年までに計20名が入社しました。新卒採用は会社の将来を決定する最重要イベントと位置づけ、内々定後から会社をあげてフォローしています。2020年入社の新人から、当社で使用するお中元とお歳暮の商品企画を全て任せたところ好評で、彼らも手応えを感じているようです。

 

 同友会大学卒業生は社員31名中、19名を数えます。2015年から社外起業を進めており、現在4社のグループ企業が誕生していますが、社長になると名乗りをあげたのは、同友会大学の卒業生たちでした。

 

未来につなぐ地域ブランドを
 21年度のふるさと納税で道東の白糠町が実質黒字額63・9億円を稼ぎ出し、税収の6・3倍に達したとの報道がありました。対税収倍率は全国1位だそうです。白糠町は平成の大合併の際も自立の道を選択した人口7300人、高齢化率42%の町です。当社では海産物や農畜産、乳製品など地域の豊かな資源を商品として磨くお手伝いをしてきました。数えてみると、道内179市町村のうち、44自治体でふるさと納税返礼品の商品企画に当社が関わっています。

 

 当社のミッションは「北海道から商品の付加価値を最大限高める」こと。未来につなぐ地域ブランドの育成にこれからも力を注いでいきたいと思います。

 

中小企業が未来をつくる

北海道中小企業家同友会 代表理事
㈱ネクサス 会長 曽根  一

 

 壮大な世界観を持とう。日本は世界のリーダーになれる。わが国はかつて技術大国、経済大国と言われた国だ。まだ間に合う。大きな夢をもって世界に立ち向かおう。その力を日本人は持っている。

 

日本は今
 いま日本が置かれている状態は非常に不安定に見える。要人の暗殺が容易に行われてしまう危機意識の欠如。世界情勢に振り回されて対応ができない。ウイルスへの初期対応が後手になった。戦争が勃発した、万が一それがわが身に降りかかろうという時、大丈夫なのだろうか。自国を守る体制に不備はないか。拉致被害者救済は、国土保全は、資本の偏り、報道の非公正さ、周辺各国のプロパガンダへの対策はどうか。どのような日本人を育てていくのか、教育の方向性は見えているか、そして日本をどうするのか。西洋の真似ではない日本人独自の生き方を考える。その上でどのような社会をつくっていくのか考えよう。

 

 いきなり日本全体を考えるのは難しい。地方から発信するのだ。それは中小企業家が行うことだと思う。私たちは平和の中でしか仕事ができないのだから。

 

中小企業ができること
 どの地域にも素敵な中小企業がたくさんあり、雇用と日々のくらしを担って地域の経済を支えてきた。素敵な中小企業には魅力的な経営者がいる。彼らが従業員と一体となって事業を行うことでまちを維持してきた。そこに住む人々が働いて子どもを育ててきた。そのおかげでまちは存続発展してきた。

 

 教育によって人は人になる。人は学んで成長する。中小企業経営者はその地域で働く社員一人ひとりの能力を引き出し、大いに活躍してもらうことで会社も社員も成長し、地域が幸せになる。社員がやりがいのある仕事を遂行し、地域の構成員として会社と社会に貢献する。

 

地域の未来をつくる
 地域の未来は住み続けたいまちであるか、魅力あるまちであるかにかかっている。その為にもわがまち、わが郷土の魅力を再確認し好きになることが大事だ。歴史、文化、気候、風土、自然、教育、産業などをより深く知ることで、わがまちを好きになる。そのことを子どもたちに教えよう。

 

 地域を元気にしていくために新しい産業を興す。仕事をつくることが雇用の場を創出する。わがまちの魅力を多くの人に知ってもらうことで、人口の維持を図ることができる。事業承継はできるだけ町内、市内、地域内で行うこと。人生は短い、しかし出来ることは無限にある。どんな夢でも実現できる、チャンスはどこにでもある、自分が気付かないだけだ。

 

 失敗は最大の学びのチャンスだ、何度失敗しても挑戦し続けよう。人生を豊かにするためにも、人との出会いを大切にしよう。人と協力し深く関わることで事業は大きく前進する。日本の明るい未来をつくるために、私たち中小企業家が手をつなぐのだ。