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同友会は、中小企業の繁栄と、そこで働く全ての人の幸せを願い、地域社会の発展のために活動しています。

【69号巻頭言】今、私たちが生きる世界

2021年01月29日

北海道中小企業家同友会 代表理事
(株)ネクサス 会長 曽根 一

 

 

 

 新型コロナウイルス感染症の影響によって、社会は大きな変貌を遂げようとしています。「今後、不要不急の国家間の移動は激減します。多くの人の手による作業は機械化され、工業生産のほとんどはさらにロボット化が進み、家庭を含め社会のあらゆる場面がAI化されます。また外食産業およびその関連する事業は縮小し、テレワーク、リモート会議の浸透によりオフィス需要が減少します。Web環境の整った地方への人口分散が進み、AIを活用した新しい農業が増え、買い物だけでなく社会の多くの場面でキャッシュレス化が急速に促進されます」(㈱ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ・オブ・ジャパン 代表 藤井厳喜氏)

 

新産業創出のためのキーワード

 

 「コロナ後の日本再生のための新しい産業を生み出すキーワードは三つあります。女性、多様性、そして勉強です。サービス産業のユーザーは7割が女性なので、その動向が社会変革の鍵を握っているのです。そして多様な価値観を持つ人々が(中略)交流、刺激しあうことによって新たな産業の種を蒔くことでしょう」(立命館アジア太平洋大学 学長 出口治明氏)


 私たちに求められている大きなテーマは、新しい産業の創出だと思います。しかし、特にこの多様性の分野では残念ながら島国日本は後れを取っていると言わざるを得ません。

 

逆風の中でこそ鍛えられる

 

 上記の「近未来予測」を考えることや「三つのキーワード」は、今後続くであろう困難な時代を乗り越えて、私たちが生き延びるために必要なことなのです。私たちの大きな役割の一つはコロナ時代であっても“夢や希望を持てるのだ”と後輩に伝えることだと考えています。


 夢を叶えるチャンスは一定の条件の下でという制約はありますが、基本的にはすべての者に平等に降り注いでいるのです。是非それを捕まえる力をつけてほしいと願っています。その力とは謙虚さであり素直さです。


 近年多くの経営者にお会いして気が付いたのは、成功を収めている経営者は前向きで謙虚、暖かく優しい方が多いということです。もちろんその陰には確固たる信念と揺るぎないビジョンが掲げられています。幸いなことに我々は中小企業家同友会に所属しています。同友会が他の経済団体と大きく異なるところは「人を生かす経営」を基本理念として標榜しているところです。また同友会に入会して、そこで学んだ経営者が大きく成長し、その姿にあこがれてお手本とする後輩経営者がいます。この好循環が企業を育て、地域を守りさらに発展させていくのです。


 今はコロナという逆風の中ではありますが、だからこそ鍛えられるという考え方もあります。ピンチは間違いなくチャンスなのです。前向きの姿勢、積極的な気持ちを持って事にあたれば、私たちの前には必ず明るい道が開けます。勇気をもって前進していきましょう。