【69号巻頭言】半世紀の成果を次代につなげよう
2021年01月29日
北海道中小企業家同友会 代表理事
(株)ダテハキ 取締役会長 守 和彦
かつてない緊張感の中で、新しい年を迎えました。
新型コロナウイルス感染症拡大で世界の景色は一変し、日常のくらしや企業活動も大きな変化を余儀なくされています。ウイルスとの戦いは変化のスピードが速く、ワクチンが開発されても、変わってしまった社会は元に戻ることはないだろうと思われます。変化にどう適応していくか、私たち一人ひとりに問われているのではないでしょうか。
経営者の課題
今回の感染症で、多くの中小企業が存続の危機に見舞われているものと思います。同友会は事業継続のために、迅速な資金手当てと雇用維持を会員の皆様に呼びかけました。国や自治体、金融機関も一体となって中小企業の資金繰りを支え、雇用調整助成金等の特別措置で企業をサポートしてくれました。
感染症流行に波がある以上、手配した特別融資の他に追加融資が必要となる企業が増えていくものと思われます。その場合、この厳しい状況がさらに続くと仮定して自社の課題を徹底的に洗い出し、精査した結果を、金融機関に知ってもらうことが大切です。
いま、金融機関は中小企業への「伴走支援」に力を入れてくれています。これは担当者が経営者に寄り添って一緒に事業計画を考えたり、専門家につないだりする形のサポートです。経営者は明確になった経営課題をもってこの“伴走者”と向き合うことです。今こそ、金融機関との関係強化が必要です。
資金繰りとあわせて大事なのは、社員と共に自社の存在意義を問い直し、事業の総点検をしていくことです。危機の時だからこそ、全社員の力を結集することで、新たな可能性を探り、将来の企業像を見定め、発展の道を考えるときだと思います。
半世紀の成果と理念を次代へ
昨年札幌で開催する予定であった中同協第52回定時総会は、各県1名の代議員によるオンライン総会に変わりました。各支部や地区会の例会も、いつしかZoomが当たり前になりました。
コロナ禍にあっても工夫を凝らし、様々な情報を発信し続けて活動を止めなかったのは、経営者団体では同友会くらいだといわれます。
直面する課題は様々ですが、ひとたび会員同士で議論が始まると悩みを分かち合うことができます。課題が議論のテーブルに乗れば、解決の糸口も見つかり、明日に向かう元気が出てきます。明日への意欲さえあれば、経営に工夫が生まれます。共に経営者として、コロナ禍に負けない強靭な企業経営を目指してまいりましょう。
今年は北海道同友会創立から52年目となります。孤独な経営者をなくそうと立ち上がった先人の思いに学び、半世紀にわたって積みあげてきた同友会の理念と運動を次代へつなげてまいりたいと思います。