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同友会は、中小企業の繁栄と、そこで働く全ての人の幸せを願い、地域社会の発展のために活動しています。

【69号特集4】インタビュー 北海自工(株)代表取締役社長 久手 剛(稚内)

2021年01月15日

今こそ同友会の出番! ―他団体と連携し、宗谷地域をよい街に―

 

 数多くの団体に所属しながら地域に貢献し続けてきた久手氏。宗谷地区会幹事長として活躍する傍ら、「稚内市中小企業振興基本条例」に基づく新たな施策づくりにも尽力しました。久手氏の同友会での活動のあゆみと、今後の展望について伺いました。

 

 

 


 

─同友会と出会ったきっかけは何ですか?


 私と同友会の出会いは2009年、青年会議所での活動を40歳で終えた際に、当時稚内地区会(現宗谷地区会)の会長だった坂野鉄工の坂野社長から「経営の勉強にはもってこい。一緒に勉強しないか」と誘われたのがきっかけです。入会当初から例会があればできる限り出席していましたが、一年後の2010年に地区会長が坂野社長から北友ストアーの吉川社長にバトンタッチしたタイミングで、幹事長を仰せつかりました。それから社業、他団体活動と並行して同友会活動にも深く関わるようになりました。経営の勉強だけでなく、生まれ故郷の地域課題の解決にも関わることができています。


─社業を継ぐまでの経緯を教えて下さい。


 私は稚内生まれの稚内育ちです。当時弊社の代表だった父のもとで育ちました。市内の高校を終えて札幌の大学へ進学、経済を学び、卒業後は北海道三菱自動車販売へ入社しました。このときに、自動車に関する基礎知識や営業販売の手法を身につけました。いずれ父の会社を継ぐことを視野に入れ、自動車業界で生き残る術を身につけなければならないと思い立ち、北海道自動車短期大学へ入り、一から自動車の基礎知識と整備技術を徹底的に学び直しました。このときの経験値が今に活きていると思っています。


 その後1996年に故郷に戻り、父の会社へ入社し、自動車整備・営業の両面で一心不乱に働きました。営業部長、総務部長などを経ながら経営の基礎を身につけ、2017年に代表取締役に就任しました。多種多様な団体に入っていたことから社外での活動も増えていました。同時に同友会の幹事長としての活動も加わり、今までとは違った活動が加わってきたと感じていた時期でした。


─約10年間の同友会活動の中で、特に印象に残っている活動はありますか?


 2017年、当時の地区幹事会でサハリン定期航路の低迷など経済の衰退に関する議論を経て、地区会活動が地域に焦点を当てた活動へと大きく広がったことです。今までは会員に話をしてもらったり懇親会を開催したりと、同友会内での活動にとどまっていたのですが、稚内市や金融機関、宗谷総合振興局など外部団体と関わる機会が増えました。


 かつて稚内市はサハリンとの経済・文化交流が盛んな地域でしたが、数年前より稚内─サハリン間の定期航路が運行されなくなり、今後の経済交流が減少する危機に直面していました。そこで地区会例会としてサハリンとの経済交流という課題をテーマに取り上げ、サハリン事務所長や関係者の方と現地のマーケットや会員企業の進出を考えるなど、サハリン交流の今後の可能性について深く議論することができました。


 また、行政機関とのかかわりも深くなりました。特に印象的だったのは、2017年に制定された稚内市中小企業振興基本条例に基づく、中小企業支援策の制定に関わることができたことです。市と金融機関、同友会会員の三者で中小企業が直面している問題に関して、意見交換を重ねて施策づくりに関与できたのは非常に良い活動でした。

 

2018年度稚内地区会6月例会 行政との意見交換会

 


─稚内市中小企業振興基本条例に基づく施策づくりについて、具体的に教えてください。


 大きく分けると、人材確保と生産性向上の2点があります。人材確保については、進学や就職などで地元を離れた方へアプローチするために、①市外で開催される合同企業説明会に参加する企業へ旅費、出展料などの経費の3分の2を助成。②大学や専門学校等からインターンシップを受け入れる企業が負担する学生の旅費や保険料などの経費も3分の2助成。③首都圏からのUIJターン就業者に最大百万円の移住支援金制度ができました。


 また生産性向上については、専門家の招聘、IoT機器や産業用ロボットの購入、リース料などを対象とする支援制度が加わりました。さらに、既存の制度でもホームページ制作や外国語対応に伴う委託費が補助の対象となるなど内容が充実しています。


─今後の地区会活動をどのようにお考えですか?


 地域を良くするには、私たち経営者が勉強することはもちろん大切ですが、地域と密接にかかわっている行政、金融機関、商工会議所など、外部団体と共に学び、議論することも大切です。経営者としての勉強と地域を良くする活動の両方ができるのは同友会の良さです。この良さを存分に活かし、広めていく活動をしていきたいです。


 2019年、地区会名称を稚内地区会から宗谷地区会に変更しました。前述のような活動を宗谷管内の全域に広げ、連携できるようにしていくためです。現在、宗谷地区会の会員数は46名ですが、そのほとんどが稚内市内の企業です。その他の自治体は、猿払村に4社、天塩町1社、浜頓別町1社にとどまり、未開拓地域が数多く存在します。現状でも企業間交流はありますが、同友会のような団体単位での交流は皆無に等しい。今後は、宗谷管内の各町村で会員を増やし、「宗谷地区会」としての活動をより活発にしていきたいと考えています。また将来的には、会員のみならず行政・金融機関とも地域を飛び越えた連携ができれば、と考えています。

 

2018年度稚内地区会12月例会 地域活性化ディスカッション例会

 

■会社概要
設  立:1962年
資 本 金:2,500万円
従業員数:13名
事業内容:自動車整備、板金塗装、中古車販売、各種新車販売、損害保険代理店

 

(2020年10月29日収録 聞き手 中田大貴)