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【69号特集4】激変期こそ成長のチャンス!―コロナの長期化を見据えて―

激変期こそ成長のチャンス!―コロナの長期化を見据えて―

 

長谷川産業(株) 代表取締役社長 長谷川 貫一(帯広)

 

 家具・建具の卸売・小売として創業した長谷川産業は、1966年の帯広店を皮切りに道内に店舗展開。「スイートデコレーション」を中心に、物流、建材、携帯電話販売、システム開発などを行う企業を立ち上げ、住生活に関わるあらゆるサービスを提供する「住生活総合提供企業」を形成する。グループ年商225億円、北海道内14店舗。

 

 


 

 当社は先代・長谷川晃三が1950年に家具・建具の卸売・小売として創業した会社です。創業者の父は今年100歳になり、コロナ禍ですが元気に過ごしています。


 家具業界は全国で寡占化が進み、地方の多くの家具会社は赤字経営に陥っています。そういった家具業界の中で、当社は幸いにも黒字経営を続けることができています。当社の取り組みの一端をご紹介します。

 

他にはない商品をつくる

 

 当社は今、産業革命以来の大変革との認識をもって改革に取り組んでいます。コロナが長期化している今こそ、他社にあるものや、安いだけの商品はつくらず、一つでも光るところのあるものをつくることが大切と考えています。「スイートデコレーション」(家具雑貨店)の商品を例に挙げます。


 一つ目はドリアンを素材としたテーブル、イスです。ドリアンは東南アジアで栽培されている果物の雑木です。果実は強い甘みを持ち栄養が豊富で果物の王様と呼ばれています。木の高さは10m以上になり、独特の木目と色合いを持っています。今までは、果実を採取した後の木は廃棄されていました。通常テーブルは10万円ぐらいで販売することが多いですが、ドリアンの木を再利用して製作したテーブルは、3、4万円で販売することができ、非常に喜ばれています。

 

ドリアンの木を再利用したテーブル


 二つ目は現地法人の工場に製品の設計図を提示し、当社ブランドの製品を製作しています。従来は、問屋などを通して仕入れをする「ゴムの木」製の18万円ほどするテーブルやイスのセットでも、10万円程度で手配することができます。


 三つ目は今までの常識を再検証することです。食卓で白い生地を使用する商品はタブーとされていますが、当社ではタブーに挑戦して変わった形のかわいいチェアーを販売しています。これが実はすごく売れています。若い女性を中心に「かわいいから買いたい」と好評です。

 

かわいらしさを追求したチェアー

 

長谷川産業の生命線

 

 札幌ICの近くの米里に長谷川産業の物流センター(5000坪)があります。マテリアルハンドリング機器(物流現場内業務での生産性を高め、作業効率化を実現させる荷役機器)などの設備が整っており、長谷川産業の心臓部です。ここから道内すべての店舗に配送等を行い、商品の物流コストを抑えています。


 この物流センターは会社の頭脳ともいうべき商品部も配置されていて、社内全体の作業の95%は物流センターで行えるよう効率化を図っています。店舗で行う作業は社内全体で言うと5%ぐらいです。

 

コロナ習熟曲線

 

 通常の習熟曲線は、課題をこなす回数が増えるほど一定の割合で効率が上がっていきます。コロナ禍でも、失敗を何度も何度も繰り返して、習熟度が上がり最後にうまくいくと考えています。最初から上がることはありません。試行錯誤で見通しが立たない中でも、必ず解決策が見つかると信じて、その時まで頑張り続けなければいけません。コロナ禍の中、当社も失敗を重ねながらも、その都度修正して結果を出しています。

 

唯一無二の才能を生かす

 

 ディーパック・チョプラというアメリカで有名なメンターがいます。チョプラ博士の考え方が私は大好きです。この博士は「人間は全員、その人にしかない特別な才能を持って生まれてきている」と言っています。私はビジネスでは人に勝ちたいとか、お金をいっぱい儲けることが第一とは考えていません。


 自分にしかできないことは何かと考える。ビジネスでは自分の唯一無二の才能を生かすことです。そのため他社にあるものは当社ではつくりません。自分のやりたいこと、自分の才能を生かせること、自分にしかできないことをやり続けたいと考えています。

 

垂直クロススキルと水平クロススキル

 

 組織には他社と分業しながらそれぞれの役割を果たし一つの成果を出す考え方と、すべての工程を把握して自前で成果を出していく2つの考え方があります。


 当社では家具メーカーの工場で労働者がどのように働いているのか、在庫はどうなっているのか、部品供給の進捗、いつ出荷され、いつ輸入されるのか倉庫、店舗、宅配、クレーム処理まで、すべてを垂直的に把握することをめざしています。これは垂直クロススキルです。私は工場から現場・配達まで全部知っている状態であることが必要であると考えます。


 またSNSの普及で個々のお客様の企業、商品への評価や意見が一瞬にして広がる時代を迎えています。レビューに対して真剣に対応するようにしています。商品が良く、安くてサービスが良いことはお客様にとって当たり前のことです。今はお客様の行動に沿って、商品やサービスを提供できるかという競争になっています。インターネットでいくらでも比較することができることを考えると、自分目線で商品をどれだけ直しても、どれだけ安く提供しても限界があります。自社のスキルを水平的(お客様目線)に変えていくことが大事です。


 水平スキルの一つの例として「サブスクリプションサービス」(定額制サービス)の拡大があります。例えば大学生や転勤族に、月額で家具・家電などをレンタルするサービスなどもその一例です。お客様は定額制なので使用料などを気にせずにお得感を感じることができます。企業側も翌月の売り上げ、平均的な解約率、新規でいくら契約を取ればよいのかがわかり、安定して経営することができます。


 私は水平・垂直、どちらのスキルも必要だと考えています。水平・垂直のクロスするスキルを身につけていくことが大切です。行き着くところは、コロナ時代に変わってしまったお客様の行動に即して自分を変えることができるかが重要です。

 

包括委任・放置委任はダメ

 

 社長が勉強して時代の一歩先を考えて社員に迫っていかないと、社員は勉強しません。お互いに絶えず学び続けることが大切です。


 野球を例に説明すると、楽しみでやる草野球ではだめです。プロ野球のように勝つために行動する必要があります。そのことでお客様に共感を与える良い試合ができます。2軍、3軍で人材の育成が行われていないチームは1軍の成績が悪くなってもメンバーを変えることができず勝つことができません。企業も同じで人材育成に力を入れ、会社の明確な方針を伝えていくことが大切です。トップが強い意志を示すことで社員の不安を取り除き、一致団結した行動をとることができます。


 一番悪いのは放置委任です。社員に任せっぱなしにして何をやっているのか全然わからないことです。放置委任をしていてある日会社がなくなる事例をたくさん見てきました。社員の能力を信じながらも絶えず心配りをすることです。

 

コロナによって早まった情報大革命

 

 新聞もテレビも見ない人が増えています。チラシとテレビCMにお金をかけても、宣伝広告が通じない人がいるということです。そこでデジタルマーケティングが重要になってきます。お客様の購買動機では、レビューを見て決めることが増えています。レビューを参考にするお客様が多いのであれば、レビューに力を入れる必要があります。


 集客コストは1対5です。既存のお客様に買ってもらうコストは1、新たなお客様に買ってもらうコストは5です。既存のお客様に会社、社員がクロススキルを最大限に発揮してお客様に何回でもお店に足を運んでもらうことをめざしています。ライフタイムバリュー(顧客が自社に一生の間にどのくらいの買い物をしてもらえるか)を追求していきたいと思います。


 情報革命はすでに始まっていましたが、コロナによって10年早まりました。ネットを介してコミュニティがつくりやすくなり、同じ考えを持つ人のコミュニティができあがりやすくなっています。


 コロナの今は資本主義というよりネットコミュニティ主義社会に移っていると言われています。


 人の想いは話すことで具現化し、実現します。行動の第一は言葉つまり「言霊」です。想いは実現します。否定的な考えを持ってはいけません。商売は厳しいですが、前向きに頑張りましょう。

 

 

■会社概要
設  立:1953年
資 本 金:2億3,000万円
従業員数:155名
事業内容:家具インテリア・アパレル用品・インテリア雑貨・家庭用品の販売

 


(2020年8月28日「とかち支部8月例会」より 文責 北村泰徳)