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【69号特集2】荒波に耐える! 私たちの羅針盤  ―経営指針の実践で経営者が変わり、企業が変わる―

2021年01月15日

荒波に耐える! 私たちの羅針盤
―経営指針の実践で経営者が変わり、企業が変わる―

 

私たちは今、地域に生きる経営者としての姿勢と存在意義が問われています。釧路地区会の経営指針成文化研究会「くすり塾」修了生の3名が「経営指針づくりと実践でわが社は変わった!」をテーマに報告。コロナ禍の今こそ、同友会の学びである「人を生かす経営」について触れ、自社の存在意義について考えました。

 


 

■報告1 (有)兼芳新潟屋 前商店 代表取締役 前 義幸(釧路)

 

 当社は1973年に、食料品やたばこなどを取り扱う商店として、先代である父が創業しました。


 しかし、時代が進むにつれ、近所にコンビニや大手スーパーが増え、客足は減っていきました。当時の売り上げはたばこが主体で、年商3500万円、粗利益率が14%以下の、潰れる寸前の個人商店でした。そのような状況を見て、私は 「親がつくったこの店を潰すわけにはいかない」という思いで、2007年、29歳の時、家業を継ぐために入社しました。

 

 

自社にしかない「商品力」と「サービス力」

 

 仕入れて売るだけの商売では会社は長くは続かないと感じていた私は、自社で商品をつくって販売できるような事業を行いたいと考えました。


 そこで、これまでは当社で扱ってこなかった「食肉」を仕入れ、さらに加工する事業部をつくり、食肉工房「よしやす」を開店。2015年にぶたまんの製造を開始しました。冷凍で販売しているお肉たっぷりの「よしやすぶたまん」は、当社を代表する商品となり、現在は移動販売も行っています。


 当社ではこれまで9種類の豚まんや、レトルトカレーなどの商品を開発・製造してきましたが、自分たちの発想だけでつくった商品は一つもありません。あくまでもお客様の食べたいもの、希望するものを参考に新商品をつくり、販売しています。


 また、当社の配達、電話やインターネット注文の受付は社長である私が行い、会社の窓口となってお客様の声を聞いています。その結果、他社にはない豊富な種類の商品と、小規模な会社だからこそできる、迅速で柔軟なサービスが当社の強みとなっています。

 

 

感覚から理論へ

 

 「くすり塾」で経営指針を学ぼうと考えたきっかけは、「感覚の経営」から「理論の経営」へ成長したいと思ったからです。それまで私は、自分の「直感」を頼りに経営をしており、何度も成功と失敗を繰り返してきました。自分ならお客様の満足するアイディアを出すことができる。そう信じて、一人で猛烈に仕事に打ち込んでいました。


 しかし、会社の知名度が次第に上がり、社員も増え、工場も増えていくと、社長の「感覚経営」だけでは社員やお客様がついてきてくれなくなりました。自社の経営への理論付けが曖昧で、周りの理解がないままに、自分だけが突っ走っていたのです。孤独の中で、不安を感じるようになりました。私は経営指針を学ぶことで、自分の直感を明確な言葉で社員やお客様に説明したいと思い、「くすり塾」の門を叩いたのです。


 私はすでに、入社して5年目の時に、経営理念を作成していました。当時の経営理念は「私たちは食の何でも屋を目指します」を表題に、「①北海道の食文化の発展・向上②人々の豊かな生活を支える③地域社会への貢献」を掲げていました。


 「くすり塾」に参加し、たくさんの課題に取り組み、時間をかけて自社を分析しました。気づいたことは、「この経営理念は間違いではなかった」ということ。自分の経営者精神がしっかりと反映されている理念なのだと再認識できたのです。直感が確信になり、根拠が明確になり、自分の考えは正しかったのだと自信につながりました。

 

経営者の成長なくして会社の成長はない

 

 企業経営がうまくいかなくなる原因は、外的要因ではなく内的要因です。重要視するべきことは、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の流行やライバルの出店などではなく、経営者の考えがいかに社内に浸透しているか、お客様に想いが伝わっているか、ということです。「くすり塾」での先輩経営者のアドバイスから、経営は常に自分との闘いであることを学びました。今、苦しい時代だからこそ、しっかりとした経営理念をもとに経営者としての行動を見直し、社員に伝えていくことが重要だと実感しています。


 当社の存在意義と価値は、現在の経営理念に込められている通り、「食を創る」ということです。当社がなければ生まれることのなかった「商品」と「食文化」をつくり、それを「育てる」。ぶたまんを食べた子どもたちが大人になったとき「釧路といえばぶたまんだよ」と言ってくれるような、次世代に続く豊かな食生活を支える文化を創りたいのです。当社の存在が釧路のみならず地域社会に貢献する、そのような役割を担いたいと経営指針の学びを通して再認識しました。

 

コロナ禍での成長

 

 新型コロナの影響を受け、今年3月、飲食店への業務用販売の売り上げは前年比90%の激減。さらに、相次ぐイベントの中止などで野外焼肉の設置事業はすべてキャンセルとなり、壊滅的な状況を前に頭を抱えました。


 一方で、ネット販売の売り上げが伸びていることに気がつきました。それまでは月に1万5千円ほどの売り上げでしたが、すぐに強化に乗り出すと、4月は70万円まで増加。かねてより準備していたぶたまん新工場の開設も重なり、新商品の製造に力を入れることでネット販売はさらに伸び、店頭販売も例年の3倍以上の売り上げになりました。その結果、影響を受けた事業の売り上げをカバーすることができました。コロナ禍で当社が生き残っているのは、「本質を見極める経営」をし、新型コロナが長期化した場合の戦略へ迅速に切り替えたからです。緊急事態の時こそ、経営指針の力が発揮されたと感じています。


 仕事の仕方と経営者の想いを社員と共有し、内部を強化する。そして、いかなる状況下でも「お客様の望む商品づくり」に徹底し、揺るがない経営を行う。社長になりたての時の想いは今も変わりません。自分の根本的な考えや行動が正しいものかどうか、気づかせてくれたのは、経営指針の学びだったのだと感じています。

 

■会社概要
設  立:1985年
資 本 金:500万円
従業員数:4名
事業内容:総合食品販売、食肉加工販売、食品加工販売、イベント出店等

 


 

■報告2 (株)マルカツ 吉田新聞店 専務取締役 吉田 勝幸(釧路)

 

 当社は戦後、祖父が阿寒町で豆腐屋として開業しました。まじめに商売に取り組む姿が北海道新聞社の目にとまり、北海道新聞の配達を任されるようになります。阿寒町での実績が認められ、釧路市鳥取地区の配達も任されました。当時の配達部数は1800部程でしたが、都市開発による大型ショッピングモールの建設や住宅地の拡大で、徐々に配達部数が増えていきます。2006年に1万2千部と配達部数のピークを迎え、現在は平均で9千部程配達しています。


 私は釧路の高校を出た後、旭川の大学へ進学。卒業後は家業を継ごうと、修業のために道外へ出て、出版社での教材販売や、東京でレストランのウエイターも経験しました。さらに2年ほど札幌の新聞店で修業し、2005年に釧路に戻ってきました。来年4月に社長を引き継ぐと4代目になります。


 私が帰郷した一年後、当社の配達部数はピークを迎えました。その後は下降の一途を辿り、右肩下がりどころか“右肩脱臼”状態です。また、ネット広告の台頭やDMの普及等、時代の変化と共に情報発信の方法が変わり、粗利の大きい新聞折込みチラシの売り上げが大きく減り、経営にダメージを与え始めます。私は新聞販売だけでは危ないと思いました。


 そこで、2013年に「いつまでも健康で長生きしてくれれば新聞もずっと取ってもらえるのではないか」と考え、㈱マイシーを設立。ボディケア商品の販売やフィットネス、エステ等のサービスを提供する新規事業に取り組み始めます。しかし、当時は社員との意思疎通がうまくいかず、社員は人手不足やクレーム対応等、日々の課題に追われ、新規ビジネスや収益増加に向けた動きをつくることができませんでした。

 

経営指針研究会に参加して

 

 尊敬する経営者に同友会へ誘っていただいたことをきっかけに、2017年、私は恐る恐る経営指針研究会「くすり塾」に入りました。2017年以前の経営理念はたったひと言で「真心販売」。経営ビジョンも「10億円がんばるぞ!」と、非常に漠然としたものでした。考えていることを社員に伝えていましたが、中々思うようにいきません。私と社員が描いているビジョンは絶対に違うと感じていました。


 「くすり塾」を受講し、自身の生い立ちや自社の歴史の整理、SWOT分析をすることで、漠然としていた方向性がクリアになっていきます。経営理念は次のように成文化することができました。「私たちは、地域の価値ある情報・モノ・サービスをつなぎ合わせ、創造することにより、毎日の豊かな暮らしを届ける企業として、人々の健幸な生活を提供し続けます」。


 私は幼少期、身体が弱く学校を休みがちで、元気に遊ぶ友人たちを見て「なんで自分だけ…」と悔しい思いをしていました。そんな過去の経験から、“健幸”という言葉に「心身ともに健康に笑顔で幸せに暮らすこと」という意味を込めました。

 

自身と会社の変化

 

 経営方針は次の3点にまとめました。①私たちはパートナー(社員・パート)、お客様、その家族の豊かな暮らしをサポートします。②地域と人、人と人をつなぐ『たすき』の役割を担う企業として、価値あるサービスを提供し続けます。③豊かな地域社会創造の為に、暮らしに寄り添い、時代のニーズに合わせて、常に挑戦し続けます。


 私はこの経営方針を社員と共有し、「私たちの会社はこれからどうなっていくのか」を皆で話し合いました。成文化したことで社員にも言葉でしっかりと伝えることができるようになり、私と社員、また社員同士のいさかいも減っていきました。10年ビジョンでは「地域商社として、地域の中にある価値ある資源や食を輝かせ、全国の販売店ネットワークを利用したチラシ物販を行うと同時に、食材の直売と、カフェ、運動機能を兼ね備えた、観光名所にもなる地域マルシェを運営し、地域経済の好循環や雇用増加を図る」という大きなビジョンを掲げました。10年後、新聞の部数は5000部前後と、ピーク時の半分以下になることが予想されます。しかし、皆でビジョンに向けて進むために、一人ひとりの技術を磨いていこうと決めました。

 

「クシロバコ」の反響

 

 当社は今、経営指針をもとに新しいビジネスの形を整えています。その一つがチラシ通販です。新聞販売店はエリア制です。自分が担当している地域に住んでいるお客様に新聞を配達するというのが長く続いてきたビジネスモデルでした。しかし、経営指針の成文化で、従来の仕事の枠を超え「地域の価値ある情報・モノ・サービス」は何かを考えることができました。当社のチラシ通販のメインユーザーは70~80代。ネットやスマホを使えない方からの注文が多く、「電話で注文から決済まで出来るのが良い」と喜ばれています。新聞を配る一方だったビジネスモデルがお客様との双方向のコミュニケーションを取る形となっていきました。


 具体的な形として生まれたのが「クシロバコ」です。


 第1弾は、新聞紙面に釧路の名産品や生産者を掲載・紹介し、実際に情報と共に特産品を全国の方に届けるサービスです。販売コンセプトは「新型コロナウイルスの影響で、帰省したくてもできない人たちがたくさんいます。会えない中でもせめて、ふるさと釧路の味と共にエールを届けよう」です。お客様とコミュニケーションをとる中で、帰省してくる子や孫に美味しいものを振舞うことができず寂しい、という声を耳にしました。大切な人に会えない寂しさを持つ人をつなぐコミュニケーション手段として、ふるさとの味を贈る。北海道物産展が中止になる中、余っていた地元の食材を提供するという発想から「クシロバコ」が生まれました。

 

釧路の名産が詰まった「クシロバコ」


 「クシロバコ」はとてもたくさんの反響があり、関わった会社の売り上げにつながっただけでなく、全道各地に釧路の名前をPRし、貢献することができました。会えない人にふるさと釧路の味を届けたいというコンセプトがあり、当社でもともと取り組んでいたチラシ通販の実績・信頼の積み重ねが、多くの方に購入していただけるきっかけになったのだと思います。


 経営理念やビジョンも地域の皆さんと共有したいという想いで、経営理念や事業内容、今後の展望を紹介するチラシをつくり、購読いただいているお客様に折込みチラシで届けています。当社はコロナ禍で折込みが75%ダウンとなりましたが、「クシロバコ」などにより物販の売り上げがアップしました。近隣の水産会社からも「商品が売れて助かったよ」と言われました。


 理念やビジョンを共有することがサービスへの納得感につながり、当社への期待感も増していくのではないかと思い、取り組んでいます。
 お客様と地域をつなぎ、地域と地域をつなぐ。地域に密着せざるを得ない新聞販売店だからこそのビジネスモデルをつくり上げていきたいと思います。

 

■会社概要
設  立:1974年
資 本 金:1,000万円
従業員数:8名
事業内容:新聞販売・書籍

 


 

■報告3 助産院マタニティアイ 代表取締役 成瀬 恵(釧路)

 

 助産院マタニティアイは、道東唯一の産前産後ケア施設です。妊娠中の疑問や不安なことを一緒に解決し、出産に向けて心と身体を整え、産後も元気に子育てができるようにご家族と赤ちゃんをサポートしています。妊活中の方やお子様を亡くされた方、思春期や更年期の相談など、女性の健康を支える相談も受けています。

 

なりたかった自分の姿

 

 私は、2015年に信頼する先輩経営者からの誘いを受け、「くすり塾」に参加しました。前院長から助産院を引き継いだものの、事務職を雇用する余裕もなく、院長・経営者・助産師を同時並行する状態でした。「自然なお産と優しい育児環境を支えたい」と想い描き、専門職としてお産にしっかり関わり続けたいと考えながらも、経営者としての役割を同時に求められ、その両立は本当に困難でした。しかし、経営が成り立たなければこの地域のお産・子育てを支えることはできないと悩む毎日でした。


 やっとの思いで参加した「くすり塾」の一泊研修会で「なりたかった自分の姿は?」と問いかけられ、想い描いていた助産院になり始めていることに気がつき、涙が止まらなくなりました。「地域のママやお子さん、女性たちが集い、安らげる居場所をつくりたい!」というさらなる夢が生まれ、「①道東唯一の助産院として、優しくあたたかく、安心・安全なお産・子育てを支えていきます。②子どもを産みたい・育てたい・また産みたい・子育てはステキだ!と思える地域をつくります。③女性(ひと)が女性(ひと)を支えあう、笑顔と幸せがあふれる第2の実家のような場所であり続けます」という経営理念を作成しました。

 

マタニティアイのサポート

 

 産前産後ケアは、決して特別なことでも贅沢なことでもありません。来院してみて困っていることに気が付くママもいます。コロナ禍の今、対面だからこそ届けられるケアを大事にしています。


 産前期は、家族で出産や産後の生活をイメージすることがとても大切です。産前ケアでは、これから赤ちゃんを迎えるママ・パパ、家族の方の妊娠・出産・育児の疑問や不安解消のお手伝いをします。沐浴やオムツ交換、抱っこの仕方など、家族による育児練習も行います。


 産後ケアは、出産後のママに起こるさまざまな心と身体の変化を回復するお手伝いです。母子の健康チェックや食事の提供などを通じてママの休息・育児相談・授乳のサポートをします。


 産前ケアは国からの助成がなく、自治体の助成がない地域もあるため、妊婦さんは自費利用しています。それでも産前産後ケアの利用実績は年度ごとに100件単位で増加し、産前ケアに参加された妊婦さんのほとんどが産後ケアも利用しています。一度顔を合わせているので、安心してさまざまな悩みを話してくれます。ケアを受けた方は、大変元気になって帰っていきます。

 

 

ママを支える経営指針の実践

 

 以前は、お産と優しい母乳育児を支えることが当院の役割でしたが、安心・安全でホッとでき、みんなが集える、ママと赤ちゃんのための「子育て支援の場」にしたいと思っています。優しく温かく向上心を持ち、心で動いてママに寄り添えるスタッフを育てて行くことが目標です。


 お産の受け入れ一時休止に伴い、内部の大改革に取り組みました。スタッフも入れ替わり、モチベーションが高い若手が増えました。生後1カ月未満の赤ちゃんを対象とした、お腹の中にいた頃とできる限り近い状態で写真に収める「ニューボーンフォト」サービスやSNSを使った情報発信も始めました。コロナ禍では、手づくりマスクを販売した収益で、来院する子どもたちが遊べるように木のおもちゃを購入したり、インスタ映えするような壁紙を貼ろうという新しい意見をスタッフが出してくれました。


 現在、月に6~10回程度集まり、ベビーマッサージやヨガ、料理教室、小児科医の講話などを行う『ママナビカフェ』に力を入れています。お茶をしながらママたちの学びの場となり、楽しい時間にナビゲートしていくカフェのような楽しい空間を提供したいという想いから始めました。


 当院は365日24時間、メールやLINE等で相談対応をしています。スタッフ共々話を聞き、どう対応すべきか、どの機関や専門家につなぐのが適切かを考えます。「点」が「線」になるような関わり方ができる場所でいたいと思っています。

 

あっという間の新生児期を写真に

 

マタニティアイの10年ビジョン

 

 今も経営は大変ですが、引き継いだ当時よりも心に余裕を持ち、楽しむことができるようになりました。社内のスタッフや仲間に恵まれたのだと思います。携わる側が気持ちにゆとりを持ち、笑顔でママたちに関わり続けることは子育て支援において大切なことだと実感しています。


 「くすり塾」では、いつも「数年先のことを考えてごらん」と言われていましたが、当時は現状を全く予想していませんでした。今は、赤ちゃんを安心して産み、育てられる環境をつくることが、釧路を元気にしていくことにつながるのではと考えています。いつかこの地でお産の受け入れを再開し、元気になれるママが地域に増え、子育て中の女性も社会に出ていけるようなきっかけづくりのお手伝いをしたい。それが今後のビジョンです。


 「あなたは一人じゃない、かけがえのない存在です」と言い続けていくことが私たちの使命です。周りのママたちにぜひ、マタニティアイを教えてあげてください。誰が来てもいい場所です。きっと元気になってまた来たくなります。さぁ、マタニティアイへようこそ!

 

■会社概要
設  立:2007年
資 本 金:10万円
従業員数:1名(パート7名)
事業内容:道東初!産前産後ケア・24時間対応各種相談・育児・母乳相談・参加型スクール(ママなびカフェ)、妊婦健診・助産院ランチ

 


(2020年8月27日「釧路地区会8月例会」より
文責 報告1 大宮かなえ/報告2 小島萌 /報告3 滝口由美)