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【55号】持続可能な社会作りを目指して~エコノミーとエコロジーの共存って何だ?~

2007年01月01日

(株)スペースポート 取締役社長 上田 壮一 氏(東京)

 

 

成長社会→成熟社会
 当社は2000年に立ち上げた、現在従業員10名前後の会社です。一般的に言えば企画・製作・販売を行っている会社ですが、コミュニケーションを重要視し、プロの立場から「伝える」ということを行っています。


 設立当初、営利だけを目的とした仕事は一切しないと決めて創業し、自らをSocial Creative Companyと呼んでいます。業務のテーマを所謂「販促」・「広告」ではなく、伝える内容が社会のために少しでも役に立つものだけを専門的に扱うことを目的として営業しています。


 業務は、大きく 1)プロジェクト開発 2)委託の2つに分けられます。プロジェクト開発とは、自分たちで出資することも含め、ゼロからプロジェクトを立ち上げることです。委託とは、我々も中小企業ですので、様々な企業等からの委託事業、TV番組の企画、ホームページの作成、また昨年(2005年)開催された愛知万博(愛・地球博)にも携わっています。しかし、基本的なテーマは環境・社会・文化に貢献できる仕事です。


 現在、日本では相変わらず、GDP・GNPが何%成長したといっていますが、その社会はどこかで限界が来ることは明らかです。地球という有限の世界に存在している以上、無限の成長とは論理的に破綻した思考であって、それよりも今後考えていかなければならないことは、「成長ではなく、成熟」といった考え方だと思います。実際に、物の売れ方をみても、全ての分野ではありませんが、より上質な暮らしを提供する商品が売れている傾向が大きく現れています。


 その中で、現在「企業のNPO(非営利組織)化とNPOの企業化」といった現象が起きています。企業のNPO化とは、企業の社会的責任に(CSR: Corporate Social Responsibility)基づいて、経済活動を行うことです。企業評価の新しい物差しとして、企業の経済価値だけではなく、企業の社会価値といった考え方が出現し、その基準で企業評価が行われる結果、企業のNPO化といった現象が現れています。いままで企業は、株主や消費者をばかりを見てきましたが、これからはさらに社会、自然環境、持続可能な未来を見据えて、事業を通して貢献しなければならなくなってくるので、経営者にとっては結構大変な時代なのかもしれません。一方、NPOの企業化とは、これまでのNPOはボランティアの域を脱せず、組織的にも未熟なものが多かったのですが、近年はその社会的役割の下、組織的にも成熟した団体が数多く現れてきました。企業とNPOが近づいてきた結果、その境界線に、社会起業家、ビジネスを行うNPO、そして我々が行っている中間支援型のNPOといった形態も生まれてきています。


 一例として、このような社会状態が「エコノミーとエコロジーの共存」だと考えていますし、具体的には、既存の考え方を変え、経済活動を行えば行うほど、環境に優しい社会になるという方向性にむけて、今我々は様々な企業と共に仕事をしていく中で、少しづつではありますがノウハウを蓄積している状況にあります。


環境問題→人間問題
 今、我々が取り組んでいるThink the Earthプロジェクトでも環境問題をテーマに活動していますが、一言で環境問題といっても、問題が大きすぎて、具体的にどう取り組んだらよいかわからないのではないかと個人的には思っています。自社でも環境問題を取り上げて何らかの活動をしようとなったときに、二酸化炭素の削減や、森林伐採が大きな問題なっているので植林するとか、どうも身近な問題として認識することが難しく、ましてや企業の利益の一部を投じることに果たして効果があるのかどうか悩まれることも多いと思います。


 私は環境破壊が起こって人間がいなくなっても、生命は続いていくし、地球は存在し続けると思っています。環境に問題があるわけではなくて、環境に対して人間が問題を起こしているのです。ですから、我々が意識しなければいけないことは、「人間問題」ということだと思います。例えば、工場からでる廃液であったり、自分たちが売った商品が結果的にゴミになってしまうといった問題として考えるということです。そのほうが、取り組みやすいし、考えやすいと思いますし、Think the Earthプロジェクトでも環境問題をもう少し身近な人間問題にしようということがポイントの一つになっています。


Think the Earthプロジェクト
 Think the Earthプロジェクトは、日常生活のなかに、地球のことについて考えたり、感じたりするきっかけを作り出していくプロジェクトです。


 基本テーマは「エコロジーとエコノミーの共存」


 経済をまわすビジネスそのものをよりよい社会の原動力にしていくため、ビジネスを通じて社会に貢献するしくみを提供し、世界中の企業や個人が参加して、ひとりひとりが地球のことを考えるきっかけを作っていくことを活動テーマにしています。また、グローバルな視点をもち、ローカルなひとりひとりの声をつなぐインターネットの可能性を最大限に活用していきます。


 地球規模の環境問題や社会問題を前に、多くの人が「私には関係のないこと」、「私ひとりが何をしたって変わりはしない」などと考えてしまっていないでしょうか? Think the Earthプロジェクトは、この「無関心とあきらめの心」こそ最大の課題と考え、活動しています。活動内容は、1)プロジェクトメイキング:新しい発想を持った商品やサービスの開発 2)企業とNPOの学びの場づくり 3)地球に関する情報発信 4)子どもたちの未来を創る活動支援となっています。


 Think the Earthプロジェクトと、(株)スペースポートの関係は、プロジェクト等リスクを伴う事業はスペースポートが行っています。Think the Earthプロジェクトはセミナーの開催や、Webでの情報発信や最近では企業からの依頼で、各種の調査や寄付先のNPOをコーディネートする業務などを行っています。


モノづくりからコトづくりへ
 Think the Earthプロジェクトで一番最初に取り組んだプロジェクトが、地球時計wn-1です。地球に住んでいるという意識は、普段我々にはあまり無いと思います。そこで、このかけがえの無い地球を身近に感じることが出来て、ポケットの中に生きている地球が入っているなんてとても素敵だと思って取り組みました。販売チャンネルも、一般の時計店は少なく、主にネットやデザインショップ、ミュージアムショップなどで販売しています。


 今モノづくりは変化しています。既存の価値に情緒的価値や社会的価値などを加えたものが、今後のモノづくりに重要な要素になるでしょう。また、モノを作るだけでなく、意識を変えてコト作りをすることが大事になってくると思います。モノから、物語やプロジェクトが生まれるようにデザインすることで、お客さんの関心が長く続くモノを作ることができます。その結果、モノがモノで終わらず、プロジェクトのシンボルとなる現象が起こってくると思います。


 成果だけではなく、環境にも配慮した商品、サービス、企業活動等は私が起業した6年前は殆ど事例が無かったのですが、現在はどんどん具体的な事例が出てきて、今後も更に面白いモノが出てくる時代になってきました。この旭川でも、地元が持っている課題、素材を使って様々な工夫をこらしているので、この地から全世界が注目するようなプロジェクトが立ち上げられたら面白いですし、今日の話がその一助になれば幸いと思います。

 


 

【設  立】 2000年
【資 本 金】 2,000万円
【従業員数】 10名
【業  種】 企画・製作・販売