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【53号】~社員が自ら学ぶ社風づくりをどうすすめるか~

2005年01月01日

株式会社テキサス 社長 落合 洋 氏

 

 私は帯広のパンメーカーに16年勤務し、会社では主に企画・営業の仕事をしていました。30歳の時に会社から「少しアメリカへ行って勉強してこい」と言われ、ずっとアメリカを見て歩きました。本当はパンの勉強に行ったのですが、スーパーなどを見ているうちに、アメリカの食肉市場に非常に興味を持つようになり、ひょっとしたら将来、こういう市場が存在するのではないかと考えながら帰ってきました。


 それから3年程しっかり勤めさせていただいて、33歳の時に退職しました。さらに3年間、独立するために他社で経営・経理の勉強をさせてもらい、その後、自宅の横に店舗を建て、当時80坪の店で焼肉食べ放題のレストラン「ウエスタン」をスタートしました。オープン時は大変好調で、それが勘違いの原因になりました。5月にオープンしたのですが、年末にまた借金し、間違いなく倒産するなというところまで追い詰められ、ある程度腹はくくらざるを得ませんでした。


 そのとき、たまたま友人がマイクロバスを持っていて、1台いらないかという話になり、小型のバスを1台買い、地元紙の隅に「無料送迎いたします」という広告を出すと、それがヒットし、だんだん広がっていって、何とかその年を乗り切ることができました。


 2年後に2号店を出店しましたが、利益が上がりません。そこで、仕入原価を下げるため、土曜・日曜だけ食肉を大量に売る小売業に参入、「テキサス」をオープンしました。しかし、現実はそんなに甘く無く、レストランの方はすべて家内に任せ、1年間は、工場にビデオを持ち込み、肉の解体を勉強し、毎日肉切りをし、工場にダンボールを敷いて寝泊りをして、殆ど家に帰らない生活が1年程続きました。その結果、2年目に72万円の黒字を出すまでになり、会社も軌道に乗ってきました。

 

様々な規制に挑戦して


 小売業に入って3年目ぐらいから、こんなにお客さんが来てくれるのだからお米も売ろうと思いました。しかし当時は食管法も酒税法もきちんと整備されていたため、常に何かに挑戦しようというときに、壁がいっぱいあるのです。


 ふとした縁で、お米屋さんと知り合い、話をしてみると、本人は大乗り気で、軽トラック1杯のお米を積み、売り始めました。それが大ヒットしましたが、クレームがつき、店頭での販売は自粛せざるを得ませんでした。しかし、それから彼はあっと驚く工夫で、その問題を乗り切るのです。このとき私は、モノを売るための努力の凄まじさを教えられました。その後、米に関しては、直営とテナントの2社が切磋琢磨して売っています。また、自社で精米工場を設け、一切流通に乗せず直販しています。


 次にお酒を売りたいと思いました。ところが、お酒の販売に関しては、当時大変厳しく、免許を中々下ろしくれず、そこで、現在当社で常務職をやっている男が小さな店をやっていたため、彼に免許ごと当社に入ってもらいました。しかし、今度は移転許可が下りません。そこで、8日間で20坪のプレハブの建物を建てました。それでも結局許可されたのは、12月半ばで、年末商戦には間に合いませんでした。


 翌年、全国のお酒のディスカウントストアを見て歩き、今度は200坪の店舗を建てました。そして、もともとお酒が定価販売しかできないのはおかしいと思い、オールド・リザーブを少し安く売ったことがあります。その結果、市内の問屋さん全部から仕入れを止められてしまいました。札幌の問屋にもお願いしましたが、すでに手が回っていて仕入れができません。その様なときに滝川で問屋の免許は持っているが、小規模でしか商売をしていない方がいましたので、頼み込んで仕入れをさせてもらいました。いろいろな方からアドバイスをいただき、大きな広告で酒の安売りを全面に大宣伝をしました。お客様が殺到してここでも倒産の危機を何とか回避することができました。


 このように私は、創業時の苦しみから、人脈やアドバイスを活用して、社長が信念をもって決断することの大切さを実感しました。また、最後にはお客様が味方になってくれる、応援してくれるとの信念を持つことができました。

 

会社の独自性~内策と外策~


 現在、焼き肉のレストラン「ウエスタン」13店舗、お酒を中心とした小売業のお店「テキサス」32店舗、そして農業法人を運営しています。
 例えば、テキサスで出る肉・野菜くずや、ウエスタンで出る食品の残渣物を、その農業法人で堆肥化・または飼料化にする計画をすすめています。そして、その農場で収穫される農作物はすでに、テキサスで販売しています。


 このように、グループ間で使用する商品の調達をしています。これを社内では、外策(アウトソーシング)よりも内策と言っています。しかし、同じグループ内ですと甘さが出るので、単価や品質の面では、かなりお互いが厳しく行っています。交渉がうまくいかない場合には、外部からの仕入れも考える姿勢で臨んでいます。そのためにグループ間の人事異動は行なわず、独立性を保つようにしています。

 

お客様の声を大切に


 当社では、お客様からご意見を頂くために、無料投函の葉書を各店舗に置いています。そして、毎週火曜日に全役員(店長職以上)を集めて「お客様の声」会議を開いています。私は、この「お客様の声」会議は、役員会よりも上だと位置づけています。


 葉書はAからDまでの四ランクに分類して、Dは直接謝罪、Cは電話で謝罪するという形で対応を決めています。Aもしくは、Bに関してはお褒めの言葉なので、拡大して社員の目に付くところに貼っています。また、会議の翌日に届いた葉書については、次の会議まで待っていることはできないので、即、対象店の責任者に連絡し、対応します。


 現在この葉書は累計で8,000通程になっています。4,000通あたりから分析を始めたのですが。CやDの多い店舗はやはり、売り上げも芳しくないとわかりました。お客様が、自分の見えないところを教えてくれていると実感しています。これも「お客様の声」会議を役員会よりも上に位置づけている理由の1つです。クレームから改善された内容も多く、経営コンサルタントの指導よりも価値があります。

 

社員から教えられること


 会社の中で社員は財産です。社員の物・心両面が豊かになることが、最終の目的です。教育に関しては、外部からコンサルを入れることもやりますが、最終的には、トップの思いをどれだけ伝えられるかが鍵だと思っています。その手法としては、先輩が代々後輩に伝えていくこと、そして現場が最良の教育の場だと思います。


 現在、当社には、障害を持っている社員が複数います。その中に重度の小児脳性麻痺の社員がいます。私は彼から経営者として多くのことを学びました。
 あるとき、大雪の日に皆が遅刻する中で彼はきちんと9時に出社していました。いったいどうやって来たのかと訊ねると、昨日の天気予報で大雪になるとわかっていたので、普段より3本早いバスで来たと答えました。この、仕事に対する姿勢に私は深く感動しました。


 会社が大きくなっている間は、中々回りに目が届かず、他人に対する感謝の念を忘れがちになります。しかし、彼は絶えず周りの人に感謝する姿勢を忘れないのです。この姿勢は私も忘れてはいけないと思いますし、社員を鏡にして自分が学ばせてもらっています。

 

5S運動に取り組んで


 現在当社では、2年越しで5S運動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)に取り組んでいます。社内に専務を頭に、5S委員会を、経理を除く各セクションの7名で設置しています。この委員会が月に1度のペースで、デジカメを持って、全店を巡回しています。撮影した写真はメールで配信し、次回まで改善されているか、放置されているかも必ず検証します。会議は、毎週火曜日の「お客様の声」会議終了後に開き、対応策を検討しています。この委員会は社長より権限があり、委員会が決定したことは、社長が覆すことができなくなっています。


 このように、現在「お客様の声」と「5S」が、我が社にとって最良の社員教育の場になっています。会社は絶えず挑戦し続けなければなりませんし、改革も重要です。会社の役員も社員も改革と挑戦を絶えず意識して取り組んでいます。

 

(第23回全道経営者「共育」研究集会第5分科会での報告より 文責 事務局 山地)

 


 

【会社概要】

設 立 1984年
資本金 1,000万円
社員数 240人
業務内容 精肉及び食品一般酒・米、雑貨小売