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【53号】「北海道」をブランドに、コロッケで50億円  ~「単品メーカー」から「専業メーカー」へ~

2005年01月01日

サンマルコ食品株式会社 社長 藤井 幸一 氏

 

専業メーカーへ

 現在、当社はコロッケが97%の専業メーカーです。アイテム数は850~900種類あります。コロッケのアイテム数は日本一です。生産量は一日に70トン~90トン生産しています。コロッケの数にすると120~150万個作っています。

 

 当社は、倒産しかかった会社を現会長が引き受けた会社です。


 周りからは3年でダメになる、覚悟をしておいた方がよいと言われました。


 私がサラリーマンを辞めて入社したときには、コロッケばかりですので単品メーカーということを言われました。商品を売りにいくと「単品メーカーはいいよ。」と言われ悔しい思いをしました。


 最初は総合メーカーを目指しました。北海道の商品と言えばなんだろうと考え、いもが美味しい、それとラーメンだと考え、コロッケ類とラーメンを始めました。ところが冷凍ラーメンはほとんど相手にされず、コロッケは売れましたので小さい工場しか持っていなかった事もあり、ラーメンは全てやめ、コロッケ専業となってしまいました。


 最近は社会の風潮が変わりつつあるようで「専業メーカー」としての強みが認識されつつあります。

 

こだわり

 ある時、九州の明太子を見て、北海道の原料を使って、九州の人が付加価値をつけ、北海道の人が買っていくというのに疑問を感じました。そこでコロッケを、北海道だけで売るだけではなく、本州にいち早く売りにいき、東京、関西、名古屋、九州、東北と北海道を含めて六カ所に営業拠点を設けました。現在は、90%近くを本州に売っています。そのうちの半分は関東圏です。本州への進出は、熾烈な競争がまっています。そこで当社は、「こだわり=差別化」に力を入れてきました。


 原料にこだわり、工場も北海道にこだわりました。90%近くが本州市場ですから、消費者の近くに工場があったほうが便利です。しかし、それだと当社でなくても良くなります。そこで原料の近くにいることを選択しました。


 「原料産地立地型」と呼んでいますが、我々は原料と生産者の顔が見える、それをお客様に直接お話しするということにしています。


 「こだわり」をもってやるということ、すなわち「ストーリー性」をもってやるということを、原料にしても、商品開発や宣伝広告についても大切にしています。

 

自社ブランド

 以前はOEM(相手先ブランドによる生産)が多く、下請的な要素が強い会社でした。しかし、これだけでは問題だと、自社製品を作り始めました。昔は工場が1つしかありませんので、生産が間に合わなくなりました。その時に大手から取引停止にされ、いやでも自社の製品を売らなければならなくなったのです。


 結果としてOEMのウエイトが低くなってしまいました。OEMをやっていたほうがはるかに楽です。自社製品を作るということは自ら売らなければいけません。


 OEMというのは価格が厳しいです。そこで単なるOEMではなく、提案するOEMをやろうと言っています。提案し、共同開発をし信用を作っていきます。OEMを生かしながらも自分のブランドを守っていくということが大切です。

 

コロッケ倶楽部

 コロッケ倶楽部というアンテナショップを始めました。今までは原料生産者の顔は見えていたけれども、消費者の顔も見ようとPRをかねて始めました。


 そこで得た情報を元に、月1回店長会議を開き、情報交換をし、それを商品開発に活かしています。そんな中で「チーズフォンデュサンドコロッケ」が生まれました。他の商品より2割位作るのに効率が悪く、他社はあまりやりません。その商品は年間で3億円を売り上げるヒット商品になりました。


 ただ、店をやっていると良いことばかりではありません。対応が悪い店員がいるとクレームがきます。お客様は敏感ですから、すぐに連絡がきます。


 社員の接遇教育には気をつけているつもりですが、ある時、私の家内と、買いにいったときに私が知らない店員がいて、ひどい接客態度でした。そうしたら帰りに家内から、「ずいぶん不親切で愛想のない店員だね。これこげているよ。こんな会社の社長の顔が見たい」と言われました。


 翌日、会社で担当社員に、どういうことか聞くと、ショップの社員はお盆休みで、みんな休暇をとっていました。その時だけ頼んだアルバイトでした。
 しかし、臨時に頼んだ人であっても、その時にきたお客様は2度と来てくれません。たった3日間とはいえ、どれだけ信用を落とすか考えるとゾッとします。


 その時に必ずお客様を無くしています。せっかくPRしているのに、悪いPRをしてはなんにもなりません。

 

安全、安心な商品作り

 食品製造業にはクレームはつきものです。安全衛生に気をつけていますが、どうしても防ぎきれないことがあります。そこでクレームは先生と考え、課題をいただいているというつもりでいます。クレームを分析しましたら6割が原料由来です。3割が当社発生です。残りが訳のわからないものです。原料のクレームも無くさないとクレームは減りません。


 数年前に、ある食肉メーカーの肉になん骨が入っており、大変な損害を出してしまいましたので、メーカーの所長を呼んで怒りました。その時に出てきた言葉は、「肉だから骨が入るのは当たり前じゃないか。」という答えでした。こんな意識ではクレームが無くならないので、全ての取引先と、どういう対策をするのか、お互いに話し合っています。


 原料に対するクレームをなくする。そうするとそのメーカーの品質も良くなります。多少お金がかかりますが、しっかりした考えを持って、そういうことに取り組むメーカーとしか取引をしません。


 また当社でも、金属検知器、X線など、非常に精密な機械を導入しています。


 最近はお客様がさらに厳しくなっています。玉葱の皮、コーンの皮、いもの皮等でもクレームがきます。


 髪の毛は大変なことですが、最近は、まつげとか、まゆげとか2㎜位のものもあります。


 当社ではホッチキス、普通のクリップ、輪ゴムもつかっていません。絆創膏も業務用の傷絆創膏に取り替えています。そこまで細心の注意を払わなければいけない時代になりました。

 

お客様の意見は試練

 社内ではお客様が言うことは試練だと思い、まず受け止め、必ず応えよう、それを自分の問題として、テーマをいただいていると思い、謙虚に考えようということを言っています。


 数年前に、ある会社から難しい課題をいただきました。工場内からも開発からも、できないと言う声があがってきましたが、試練だと思って取り組み、システムや価格を変え、原料メーカーにもご協力いただきやりとげました。それが今では良いお取引先になっています。


 その時のやり方ではできないかもしれないが、それをできるように取り組む。いつも言っているのは、断る算段より、つくる算段をする。なんでも断るのではなく、何とかできないかと試みるようにしています。当社の元々の体質はそんなことはできないよというのが圧倒的でした。しかし、それでは商売ができない状態になってきています。常に対応姿勢がなければ先がないということを言っています。

 

基本が大切

 私たちは、何ごとも基本が大切と言っています。礼儀を大切に、しっかりとした挨拶を必ずするようにしています。挨拶をしないのはその上司が挨拶をしないからだと思います。


 社長から挨拶するように、上司から部下に挨拶するようにしています。これは下からの挨拶を待つのではなく、自分から挨拶するようにすると言うことです。勿論上司から先に挨拶されないよう部下にも言っています。お互いにいい連携をし、お互いに良いキャッチボールをするために相手の気持ちになってやるようにしています。


 基本をやっているからこそ、実は消費者の状況が変わっていることに気づき、変化に対応できると思います。


 様々なことにこだわりますが、やはり色々な変化に対応していかないと、とり残されてしまいます。


 これは大企業であろうと、中小企業であろうと同じだと思います。その中で基本を大切にしているからこそ対応できるのであり、原点はそこにあると思います。


(第23回全道経営者「共育」研究集会第2分科会報告 文責 事務局 工藤)

 


 

【会社概要】
設立 1979年
資本金 4,000万円
売上 55億円
社員数 430人