【レポート】北海道中小企業家同友会景況調査報告 (2017 年10~12 月期)
2018年01月15日
景気後退の分岐点か
―定着した感がある人手不足。いかに変化に対応するか―
北海道中小企業家同友会2017 年第4 期(10~12 月)の業況判断DI(前年同期比)は、前回調査から6.1ポイントの悪化を示し、マイナス1.2 となった。2017 年第2 期からの景況感の改善はわずか2 四半期しか続かなかった。
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この業況判断DIの動向は、日銀短観や中同協DORなどの結果とは異なる。他調査では今期まで景況感の改善が見られ、次期で悪化見通しとなっているように、少なくとも四半期程度のタイムラグがある。北海道の景気動向については、「飛行機胴体の最後部」(景気回復は最後に、景気後退は最初に)と言われている。この表現が正しく、今期の結果をもって北海道が先んじて景況感の悪化を示したと理解するならば、2018年前半は、景況感は後退局面が続くものと考えられる。
今期調査の売上高DI、採算DI、業況水準DIは、ほぼ横ばいないしは悪化を示したほか、次期見通しに関しても改善する兆候はあまり見られない。仕入単価や販売単価DIの推移からは、販売単価の上昇幅よりも仕入単価の上昇幅の方が大きく、両者のギャップが拡大している。また、1人当たり付加価値額は6ポイント強の改善幅を示したものの、1人当たり売上高の改善は弱いというように、ちぐはぐ感が否めない。
業種別に主要指標を見ていくと、2017年第2期から継続して景況感の改善が見られていた建設業でストップする可能性が出てきたほか、製造業の低迷が気がかりである。先日の景況調査分析会議では、建設業の動向をどのように判断するかが議論になった。より詳細に建設業の指標を見ると、とりわけ次期見通しにおいて、「官需中心」の建設業では堅調な推移見通しだが、「民需中心」では、大幅な悪化見通しであった。とはいえ、建設業の回答数がわずか38社であり、1社あたりの割合が大きくなることと、多くの企業は「横ばい」であることから、過度に深刻に捉える必要はないが、心づもりは必要かもしれない。
次に、今期の経営上の問題点、次期の経営上の力点である。こちらも詳細に関しては調査レポートを参照頂きたいが、「従業員の不足」が2017年第2期に最上位になり、今期は突出した結果となった。業種別にみると、特に建設業やサービス業での割合が高くなっている。また、今期業況判断が悪化した建設業と製造業に注目すると、建設業では熟練技術者の確保難や下請業者の確保難が切実な問題になっていること、製造業で仕入単価の上昇や人件費の増加がネックになっていることが明らかになっている。そして、これらの問題点への対応として、建設業では人材確保と社員教育が、製造業では経費節減と機械化促進が挙げられている。
最後に、新聞報道では景気拡大期間が続いているとの報道とともに、人手不足に起因する廃業の増加、後継者不足による事業譲渡に言及する記事も増えてきた。経営理念の実践的なレベルアップを図るとともに、長期的なビジョンを描いていく必要がさらに強く求められている。