北海道中小企業家同友会景況調査報告 (2015年10~12月期)
2016年01月15日
景況感の改善は今期まで
―景気後退のシグナル強く、ほぼ全ての指標で次期は悪化―
北海道中小企業家同友会2015年第4期(10~12月)の業況判断DI(前年同期比)は、前回調査とほぼ横ばいの1.7にとどまった(前回調査は1.0)。また、次期見通しはマイナス9.5と今期調査から11.2ポイントもの大幅な悪化予想である。前回調査ですでに景況感の先行き不透明感が表れていたが、今期調査ではさらに不透明感が強まった。15年第1期から続いた景況感の改善は今期までとなり、次期以降は、景気後退局面に突入することは、ほぼ間違いないだろう。
※詳細はレポートをダウンロードしてご覧ください。
業種別に業況判断DIの推移では、建設業がマイナス11.9からマイナス2.7へ、流通商業が2.4から7.9へと改善を示した。他方で、製造業では5.9から2.2へやや悪化し、サービス業では、6.9からマイナス13.7へ大幅な悪化となった。今期までの動向は業種別に異なっているが、次期は全業種で悪化する見通しである。とりわけ、製造業、流通商業、サービス業で大幅な悪化見通しである。
前回調査まで、景況感の改善は、①仕入単価DIと販売単価DIのギャップ縮小と、②1人当たり売上高DIと付加価値DIがともに好転していたことにも示される。今期では、①仕入単価DIが大幅に下降し、ギャップは縮小しているものの、同時に販売単価DIも下降しているほか、②1人当たり売上高と付加価値DIも悪化し始めている。これらの指標が下降、ないしは悪化し始めるときは、景気後退局面に突入するときであることは、過去の推移を見れば明らかである。
「経営上の問題点」では、需要の停滞感(「民間需要の停滞」、「観光需要の停滞」の高まり)が表れているほか、「従業員の不足」、「熟練技術者の確保難」などが急上昇している。
そのほか、国内外の情勢不安、中国や新興国の経済停滞など、景気後退への懸念材料は枚挙にいとまがない。しばらくは、情勢の注視と我慢の経営が強いられそうである。