北海道中小企業家同友会景況調査報告(2014年4~6月期)
2014年07月15日
業況指数マイナスに転落
―増税の反動大きく、低迷長期化が懸念―
北海道中小企業家同友会2014年第2期(4~6月)の業況判断DI(前年同期比)は前期調査の14.4から▲9.4へと23.8ポイントもの大幅な悪化を示した。20ポイント以上の悪化は、2007年のサブプライムローンバブルの崩壊時期を上回る悪化幅である(当時は17.2ポイントの悪化)。さらに、前回調査の次期見通しを上回る悪化を示した指標も散見され、景気の悪化を深刻に捉えているマインドが感じられる。次期見通しは▲5.1であり、今回の景気後退は長期化する可能性がある。
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業種別業況判断DIでは、全業種で悪化した。なかでも、建設業は17.6ポイント(6.7→▲10.9)、流通・商業は39.7ポイント(32.4→▲7.3)、サービス業は19.2ポイント(▲7.1→▲26.3)と大幅な悪化を示した。次期は、建設業と製造業でさらに悪化する見通しである。流通商業では水面上へ浮上する見通しであるが、全体としては改善の力は弱い。
業況判断の悪化要因をみてみよう。まず、「採算が悪化した理由」で、「売上数量・客数の減少」の回答割合が10ポイント以上上昇しており、増税の反動が強いことが1つ目の要因である。第2に、「経営上の問題点」では、「仕入単価の上昇」が最も割合が高く、「同業者間の価格競争の激化」、「民間需要の停滞」が続き、不況時に典型的な回答が並び始めている。川上インフレ、消費増税の反動による二重苦、さらに電気料金の高止まりを加えた三重苦の状況が生まれている。
今期の調査は、ほぼすべての指標(業況判断、売上高、採算、業況水準)で大幅な悪化を示した。7月以降、景気は上向くという楽観的観測が根強くあるが、そうは思わない方がよいだろう。北海道では、実感がないままに景気拡大マインドが膨張し、実体経済との乖離が進んだ可能性がある。経営指針の見直し等、地に足つけた経営を行うことは当然であるが、この間の景気拡大局面が本物だったのか否か、検証する必要があるだろう。