決め手は経営理念、考え方/21年度の新入社員意識調査
2021年05月13日
コロナで社会へ関心高まる
「社会をよりよく」「幸せな家庭築く」上昇
この意識調査は、北海道同友会が今春開催した合同入社式と新入社員研修会(札幌、とかち、くしろ、道北あさひかわ、函館、オホーツク)の参加者を対象に行いました。男女別、学歴別の内訳は(図1)の通りです。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で調査を中止し、今年は札幌の入社式のみオンラインで開催しました。その影響もあり、回答数は338件と一昨年に比べ37%減少しています。
■会社選びの基準
「会社選びの基準・決め手(図2)」では、就職活動スタート時と入社を決めた時でそれぞれ尋ねました。「経営理念」「経営者の考え方」では、スタート時より25㌽以上増え、逆に「勤務時間、休日、休暇」「給料、ボーナス、昇給」はスタート時より50㌽以上減っています。就職活動のスタート時は勤務時間や休日、賃金面を重視したが、入社の最終的な決め手となったのは経営理念や、経営者の考え方だったということがわかります。
■働く目的の変化
大学卒の働く目的トップは「創造的に仕事をして、自分の人間的成長をはかるため」となりました。専門卒では「お金を得て、趣味などを楽しむため」、高卒では「いずれ起業するため」が働く目的のトップとなっています(図3)。2015年からの変化を見ると「社会に意義のあることを見つけ、社会をよりよくするため」と「お金を得て、幸せな家庭を築くため」が明らかに増え、「創造的に仕事をして、自分の人間的成長をはかるため」「お金を得て、趣味などを楽しむため」の近年高かった2項目が30%を切っています(図4)。コロナ禍は若者の意識を、「自己の満足」から「社会や自分の周囲への満足」へと変化させたようです。
また社会人として自信があることは「協調性」「忍耐力」「集中力」、自信が無いことは「体力」「積極性」「思考力」の順となっています。
社会人となる上で不安なことは「仕事をうまくこなせるか」「上司・先輩・同僚との人間関係」が一昨年度と同じく1位と2位を占め、「やりたい仕事ができるか」が続きます。
「毎日新聞を読んでいますか」の設問には50%が読んでいる、と回答。例年にない高い購読率です。
現在関心のある社会問題は、「地域振興・地元の活性化」「新型コロナウイルス」「年金問題」がトップ3を占めています(図5)。
以上の結果より、新型コロナウイルス感染症が、新入社員の社会への関心を高め、働く目的を「地域社会をよりよくする」ことへと変化させるきっかけになったようです。そのことが、福利厚生などの待遇面以上に経営者の考え方や経営理念を重視して職場を決める一助となったのではないでしょうか。