【速報】景況感2期連続の改善も、力弱し/2020年10-12月期景況調査結果
2021年01月26日
中小企業家同友会全国協議会と北海道中小企業家同友会が四半期ごとに実施している景況調査結果(2020年10-12月期)がこのほどまとまりました。全国では2,228社中944社が回答。北海道では785社中261社から回答を得ました。この結果について、北海学園大学経済学部の大貝健二准教授(中小企業論)にコメントを頂きました。(DI値は特に断りのない限り前年同月比、▲はマイナス、①―④は四半期) |
景況感2期連続の改善も、力弱し
コロナ第三波、先行き依然不透明
北海学園大学 准教授 大貝健二
北海道中小企業家同友会2020年第4期(10-12月)景況調査における業況判断DI(前年同期比)は、6.9ポイント改善し、マイナス42.8からマイナス35.9へ推移した(図1)。前回調査(7-9月期調査)では、今期はコロナ禍の先行き不透明感から悪化推移見通しであった。しかし、10月中はGo toトラベルなど需要喚起を促す施策展開も功を奏していたことから、マイナス30台と水面下深いところではあるものの景況感の改善につながったと考えられる。
今期の業況判断を「全国企業短期経済観測調査(短観)」や中同協DORと比較してみると、いずれの調査においても改善という結果ではあるが、北海道DORの改善幅は小さいということが特徴として挙げられる。10-12月期調査期間中の11月下旬に、全国に先んじてコロナ再拡大の動きがあったことが、小幅な景況感の改善にとどまった要因であろう。次期見通しは、3.4ポイントのやや悪化見通しである。前回調査に引き続き、景況感の改善に向けた力は非常に弱いとみることができる。札幌圏のみならず地方でのクラスターが相次ぐなど予断を許さない状況が生じていること、それに伴いGo to トラベルの停止措置がとられたことによる経済活動への急ブレーキなど、コロナ禍がいつ収束するのか先行きが全く見通せず、不安を抱えた状況であることが要因だろう。
業況判断DIを除く、今期の調査結果の概要は以下のとおりである。第1に、売上高、採算、採算の水準の主要各DIは、前回調査に引き続いて、10ポイント以上の大幅な改善を示している(図2)。これらの指標は、大幅な改善を示しているが、先述の業況判断に加え、業況水準は1ケタ台の改善にとどまっている。売上高や採算の大幅な好転が業況判断、業況水準の大幅な好転に結実していない。さらに、次期見通しに関しては、いずれも10ポイント以上の大幅な悪化見通しとなっている。
また、一人当たり売上高、一人当たり付加価値のDI推移をみると、今期も前回調査に続いて大幅な改善となっているが、水準ではマイナス16、マイナス20である。コロナショックが生じる2020年1-3月期の水準に戻ったと評価できるが、次期調査において、これらの指標が改善するのか否かも注視が必要である。
業種別業況判断では、DI水準ではマイナス20台と他業種と比較して相対的に良かった建設業で停滞感がみられていること、前回調査では改善の動きが鈍かった流通商業で大幅な改善となっている。しかし、次期見通しでは、サービス業で大幅な改善見通しではあるものの、他業種は軒並み悪化見通しである(図4)。
続いて、今期調査に寄せられた経営上の努力を紹介しておく。今期調査での特徴は、ウィズコロナ、アフターコロナを意識した記述がみられている。「ウィズコロナが日常にある生活対応と社員の健康管理の指導。新しい業種、事業へと変化があるので追従していきたい」(建設業)、「顧客の場面情報とつぶやきの全社収集活動から、潜在需要の洗い出しを努めて行っている」(製造業)、「3ヶ年計画の見直しを進めている。コロナ禍でも生き抜ける対策を検討、新事業の準備、再生可能エネルギーへの投資準備」(製造業)。他方で、「コロナ禍の中様々なことを試みたが、正直限界を感じている。感染がおさまらない限り、何をしても厳しいのではないか。」(流通商業)といったコメントもある。
先行きが見えない不安がある中で、ネガティブにならざるをえないこともある。こういう時こそ、同友会を活用し、学び、実践、そして連帯が求められるのではないだろうか。