【我が社の自慢42】矢野旅館(松前町)
2020年10月15日
冬の津軽海峡が育む岩海苔
我が社の自慢は、松前産の岩海苔をふんだんに用いた『のりだんだん』です。
当社は北海道の最南端、松前町で旅館業を営んでいます。
元々曾祖母が隣の福島町で旅館業を始めたのがきっかけで、祖母の代で松前町に移ってきました。私で四代目になります。地元の食材を用いた料理で、道内唯一の城下町らしいおもてなしを心掛けています。
津軽海峡に面した松前町では、1月から4月にかけて岩海苔が採れます。岩場についた海苔を町内の漁師が丁寧に摘み取り、1枚1枚干して出来るのが松前のりで、これをご飯の上に地層のように積み重ねたのが、『のりだんだん』です。
松前のりの最大の特徴は、その風味と味わいです。これは、冬の津軽海峡に吹き荒ぶ寒風が、海中の養分を混ぜる役割を果たすことで生まれると言われています。
海中が混ぜられることにより、海面近くの岩海苔は養分をたっぷりと含むことが出来ます。松前町ならではの気候が、松前のりの深い旨味と味わいを生み出すのです。
近年では漁師の減少に伴い、松前のりの生産量も少なくなっています。『のりだんだん』はその性質上、大量生産・安定供給が難しい商品です。しかし、厳しい冬の津軽海峡が生み出すこの町の美味を、これからも発信していくことが、当社の使命であると考えています。
▽設立=1951年、会員=取締役会長・工藤冴子(取材に応じていただいたのは四代目で代表取締役の杉本夏子氏)、事業内容=旅館業、社員数=29名(パート17名含む) |