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7/12 全道農業関連部会交流会inとかち記念講演 ファームノートホールディングス 代表取締役 小林晋也氏

2019年08月15日

成長に意識の変化を

 

 

■意識と成長

 

 意識とは、自分の今ある状態や周囲の状況を認識できている状態です。ロバート・キーガン博士が提唱する発達心理学の一つ『成人発達理論』によると、人間は「無意識」にコントロールされていて、これを自覚することが次の成長のステップといわれています。

 

 また、成人の発達段階(意識レベルの変化)は6段階あるとし、2段階目の「道具主義的知性」は人は自身の目標達成の道具という自己中心的な認識。3段階目の「環境順応型知性」は人に合わせ、人を思いやることができる一方、周りや環境に自身の価値を感じる面もあり、人間の7割程度を占めるといいます。

 

 4段階目の「自己主導型知性」になると、他人と共感・協力しながら自己目標の達成ができるなど、意識は成長段階が上がるにつれて人を受け入れる力が高まります。人の成長にはスキルだけでなく、意識の変化も重要となります。

 

■無意識の諦めとマインドフルネス

 

 私は、2004年にスカイアークシステム(現・スカイアーク)を創業しました。複数の大手企業も顧客になりましたが、どうしても売り上げが目標に届きませんでした。社員に対する自分の伝え方が悪いと考えて企業理念なども変更しましたが、今思えば表面を取り繕っただけのものだったので社員のパフォーマンスは上がらず、売り上げも伸びない、全てを他人のせいにしていました。

 

 13年にファームノートを創業し、周りからは順風満帆に見えていましたが、事業は計画通りに進まず、資金も足りないなど、全てがうまくいかないという感覚がありましたがある時、グローバルコーチング代表取締役の本多喜久雄氏の経営者コーチングを受け、自分の在り方に問題があると気付きます。

 

 顧客や社員など周りからどう思われるかが重要となっていて、それによって自分のやりたいことを無意識に制限していたのです。例えば、会社は黒字経営が重要といいますが、私はそれよりも事業で社会にインパクトを与えることが重要だと思います。ただ、黒字経営であることは銀行や顧客、社員とのいざこざを避けることができる、つまり対人関係を避ける手段になります。私は他人に人生を預け、真にやりたいことを無意識に諦めていました。会社が失敗しないよう、諦めることで対人関係を避けていたのです。

 

 これらの考え方は日本では禅、世界では「マインドフルネス」と呼ばれ、グーグルの社内研修やスティーブ・ジョブズも取り入れています。自分を見つめることで、自分のやりたいことを制限していることに自覚的になる練習です。とても有用です。

 

■成功の法則

 

 私の成功の法則として、1つ目に「大きな意図を持つこと」があります。私は”生きるを、つなぐ。”という大きなビジョンを掲げたことで、これに対する執着は苦しみも生みましたが、一方で広い世界を見ることもできました。

 

 2つ目に「適切な努力」。自分が苦手なことを無理にやるのではなく、自身の才能を適切に生かすことが重要です。

 

 3つ目の「恩寵を受ける」とは、目の前に起きた出来事をどう生かすかです。例えば自分の苦手な人が現われた時に、自分にとって必要な人だとしても受け止めることが出来ないなど。人を受け止める力を高めるということはその分チャンスが広がるということです。これは意識の成長にもつながると思います。

 


 

企業概要=本社・帯広市。ウェブインテグレーション事業を展開するスカイアークと、農業IoTソリューション事業を展開するファームノートを有する純粋持株会社。