【55号】地区役員会が手塩にかけて企業の幹部を育成~「次世代の星の会」の取り組み~
2007年01月01日
札幌支部白石・厚別地区会では、地区役員会が企業の幹部を育成する“共育”活動に取り組んでいます。その名も「次世代の星の会」(略称・次星会)。提案者でもある同地区会副会長の関口ひろみ氏((株)シオン社長)にお話をうかがいました。
札幌支部 白石・厚別地区会 副会長 関口ひろみ 氏((株)シオン 代表取締役社長)
「次世代の星の会」誕生
経営者の世代交代期に差しかかっている企業が増え、会社の将来を担う社員の育成が強く求められるようになっています。
白石・厚別地区会では、2003年3月に『経営指針で元気になるかい!』が設立され、30社余りの会員が経営指針の勉強に取り組んでいました。「せっかく経営理念をつくっても、浸透させていくためには、社員集団の核となる人材を育てねばならない」。幹事会では、地区会の中で明日の企業を支える社員の育成機関を発足させてみようということになり、数名の幹事が選ばれました。
会社を変える力を
より良い会社をつくり上げていくためには、改善提案のできる主体性をもった社員づくりが必要です。同友会大学よりもより身近に、経営者もしっかりかんだカリキュラムで、次世代の星を育てていこう。地域の企業同士の連帯に依拠した人材育成の試みは、2003年7月にスタートしました。
募集要領の「目的」には、1)会員経営者や専門家からものの見方や考え方を学び、2)異業種の仲間とふれ合って経験と情報を交流し合い、3)会社を変える力を養っていくことをめざします、と書きました。募集人数は20名。将来会社を担って欲しいと思う幹部候補生を社長が推薦します。期間は1年間で毎月の例会では、経営者や専門家の話を聞いてグループ討論を行います。コーチングの講座も組み込みました。
「毎月の例会報告をしっかり聞き、相手の理解度に合わせて社長の考え方を伝え、コミュニケーションの構築を図って下さい。それが社長の役割です」。受講生を出す経営者には、そうお願いしました。地区会の幹事会には、進捗状況や問題点を常に報告し、時にはシビアな議論も。学びの成果を聴く地区例会も行っています。
1期から3期までを振り返って
1期のメンバーは、20代・30代が多く、職種は営業が主でした。全員が意欲と集中力を持ち、社長とのコミュニケーションも良好で、社長も彼らの成長を認める結果で終了しました。
2期目は、技術部門や製造部門からの参加が多く、50代の人間も数名いました。全体的に積極さに欠け、受講生の主体性を高めるため、一泊研修も2回行ったほどです。後半になるにつれ、50代が中心になってメンバーを引っ張り、1期とは違った積極さが生まれました。仕事や職場環境の悩み等をグループで話し合う、アットホームなまとまりがあったと思います。
3期は、個性の強い人、普段社外とあまり接触を持たない人、自信の無い人も多く、カリキュラムを状況に合った内容へ変更せざるをえませんでした。しかし、後半になるにつれて、飛んでいた人が落ち着き、消極的だった人もきちんと人の目を見て発言をするようになりました。
リーダーとしての自覚を促す
どの期も1年間のカリキュラムを終了してみると、多少の差はあれ、成長を遂げてくれているように思います。1年間を通して、会社のあり方や将来を考え、自分自身を見つめ、色々な社長の考えを垣間見るということは、貴重な体験でした。
ある経営者は、「1期から続けて社員を参加させているが、特に2期目、3期目に出した技術系の50代の変化がすごい。それまで、自分の仕事さえやっていればという姿勢だったが、周りのことに配慮するようになり、リーダーの自覚が出てきた」と高く評価しています。
また、1期生である共栄エンジニヤリング(株)課長の西村昌泰さんは、「次星会に参加して、他社の社長さんの話を聞くことや、異業種の人とのふれ合いが、自分の視野を広くするきっかけになった。修了後、社長が病気で亡くなり、会社を引っ張っていかなければならないという意識も強くなった」と感想を語っています。
残念ながら期の途中で、あるいは修了後に、会社を辞めていった社員もいます。理由は様々でしょうが、学ぶことによって別な道を模索した人もいたはずです。
問題なのは、幹部候補の社員に対して会社の情報や方針を開示していないケースが多いということです。これでは、会社の将来も見えずじまいではないかと感じました。大切なのは、社長が社員に対して『なぜ次世代の星の会に参加してもらいたいのか』を話し、毎月のフォローを行い、コミュニケーションを図っていくことではないでしょうか。
第4期は、2006年10月からスタートしています。
第2期次星会カリキュラム
第1講 オリエンテーション
第2講 「社長の仕事とその責任」
第3講 「経営者がホンネで迫る!いま幹部に求めること」
第4講 「コーチングで会社を変えよう!」
第5講 コーチングの実践報告1
第6講 コーチングの実践報告2
「私の仕事での課題とコーチング」
第7講 地区会との合同例会
「新春討論会~いま求められる幹部像とは~」
第8講 一泊研修会
「わが社の経営理念」
第9講 「わが社の存在意義、私の存在意義」
第10講 「現在の仕事に対する自分のビジョンと、5年後の仕事に対するビジョン」
第11講 フリーテーマでグループ討論
第12講 一泊研修会
「人間関係とコミュニケーション」
「わが社(わが部署)の強みと弱み」