気流
2019年07月15日
空前とも言える売り手市場に、採用企業は悲鳴を上げています。
2020年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の求人倍率は全体で1・83倍、前年の1・88倍に比べ0・05ポイント下落したものの依然として高水準を維持しており、その傾向は収まる気配を見せません。
大学のキャリアセンターは、この状況に諸手を挙げて喜んでいると思いきや、複雑な心境が見え隠れしています。某私大の担当者は「就職氷河期の頃に比べ、真剣に業界研究に向き合う学生がめっきり少なくなった。就職に対する意識が低下している」と嘆いていました。
それどころか、求人数の増加に比例して、早期退職者も増加傾向にあるといいます。昨今の大学4年生は一昔前に比べ、就活に費やす時間やお金に余裕がなく、就活を早く終えたいがため最初に内定が出た企業に就職を決める傾向が高く、職業選択時のミスマッチが離職率の高さに拍車をかけているようです。
冒頭の求人倍率に対し、従業員300人未満の求人倍率は8・62と極めて高く、こうした中で継続的に採用活動を行うのは並大抵なことではありません。
合同企業説明会への来場者数が軒並み減少する中、選ばれる企業としての情報発信力を高める工夫は不可欠と言えます。
一度は首都圏や大手企業に就職したものの、思惑と違い早期退職した第二新卒者へのUターン促進なども、採用氷河期の活路を開く契機になるのではないでしょうか。