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札幌新陽高校長 荒井優氏 札幌支部定時総会で基調講演

2019年06月15日

第34回札幌支部定時総会が4月26日、札幌パークホテルで開催され、基調講演で札幌新陽高校長の荒井優氏が、学校改革への取り組みを報告しました。

 


 

学校経営の素人が高校教育を変える

 

講演する荒井氏

■民間企業から高校の校長に

 

 札幌新陽高校は私の祖父が設立した札幌慈恵女子高が、共学化を機に名称変更した高校です。かつては地域住民からガラが悪いというイメージを持たれる学校でした。私が校長に就任してからの3年間は、このイメージを払しょくすることが大きな課題でした。

 

 私は、2016年に民間企業から校長に就任しました。教員免許は持っておらず、学校で働いた経験もありません。そんな学校経営の素人が財政の立て直しに取り掛かるのですが、就任時の学校の状況は定員に対する入学者数が55%と非常に厳しいもので、10年以上赤字が続いている当校において、就任後生徒の募集に2度失敗すれば経営は立ち行かなくなると考え、最初の一年目をとにかく全力でやろうと思いました。

 

■ビジョンとカルチャー

 

 経営にとってビジョンがとても重要です。そこで「日本一に本気で挑戦する人の母校」をビジョンに掲げました。このビジョンを「なぜ成し遂げなければならないのか=カルチャー」にまで徹底的に突き詰め、組織に浸透させることが私のリーダーとしての重要な役割でした。

 

 全国に約5000校の高校がある中で、ランク付けによる順序が存在し、ランクが上位のほうが良い学校ということになっていますが、社会ではその順序は全く関係ありません。 

 

 他の学校との差別化を図り、新陽高校が日本の高校教育を変えるというビジョンとカルチャーを徹底的に実践した結果、就任後3年連続で入学率が100%を超え、今年ついに学校全体の定員充足率が103%に達しました。ビジョンとカルチャーが、「新陽高校は悪い学校」というイメージを覆したのです。

 

 入学者が増えても、同じ数だけ辞める人がいれば意味がありません。数を増やす努力も大事ですが、それ以上に数を維持していくための努力が大切で、従来の学校教育の現場ではおざなりにされすぎていたのではと感じます。

 

■これからの学校教育

 

 高校生のうちから具体的に自分の進路や目標を持つのは難しいことです。そこで大事になるのが、出会いと原体験を提供することではないかと思います。生徒が企業と連携をして事業を行う機会を作ったり、震災復興のボランティアなどを経験してもらうことで、生徒自身が目標を見つけられる環境を提供することが、人材育成にとって重要と考えます。

 

 去年新設した「探究コース」では科目ではなく、企業と連携して行うプロジェクトを通じて学習を進めています。決まった答えを探すのではなく答えを作り上げる、これが日本の高校で最先端の学習スタイルです。このスタイルを全国に広めたいですし、10年後には日本のスタンダードになると思っています。

 


 

 荒井優(あらい・ゆたか)=7年にわたりソフトバンクの社長室で勤務し、3社の子会社の取締役を歴任。2016年、新陽高校の改革実践により、学校経営の改革者として注目を浴びる。