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【1世紀企業 90】 水野商店(釧路市)

2026年01月15日

1944年の疎開後に新築した店舗
水野泰甫社長


      釧路の暮らし支え114年
      
 変化に挑み続ける


 水野商店は、1912(大正元)年に現在の釧路市南大通に陶器店として創業しました。

 創業者の水野両平氏は、岐阜県多治見市の瀬戸物屋に生まれ、釧路に移り住み間もなく瀬戸物の小売り、卸売りを始めました。当時瀬戸物を扱う店は少なく、評判となりやがて商圏は道東一円へ広がります。昭和初期にはガラスの取扱いも開始し、35(昭和10)年には北大通6丁目に支店を開設。順調に事業を拡大しますが、空襲による疎開に伴い本店が強制的に取り壊され、44(昭和19)年に移転を余儀なくされました。

 49(昭和24)年に法人化し、翌50(昭和25)年に現在の本社がある北大通12丁目に再移転。やがて日本経済は高度成長期に入って瀬戸物の需要も高まり、年末には列車で貨車1両分の商品を仕入れては、店頭で10個単位の販売を行うなど活況を呈しました。周辺地域から多くの客が朝一番の列車で訪れ、茶碗や皿を大量に購入し、スリを取り締まる刑事が見回りに来るほど店は賑わったといいます。

 55(昭和30)年には帯広に出張所を開設。57(昭和32)年に日本板硝子の特約店となると、次第にガラス部門が主力事業となっていきます。68(昭和43)年、両平氏の死去に伴い息子の孝氏が2代目社長に就任すると、ビル用サッシの取扱いを始め、建築関係のガラス工事へと事業領域を拡大。79(昭和54)年からは瀬戸物事業を縮小し、本格的にガラス・サッシに軸足を置くことになりました。

 86(昭和61)年には孝氏が会長となり、息子の哲氏が3代目社長に就任します。89(平成元)年には帯広出張所を建て替え、支店へ昇格させました。哲氏は「快適な住環境の創造」を経営理念に掲げ、窓を中心とした建材販売・工事を主軸としつつ、創業時からの陶器店は継続。陶器、ガラス、建材全ての領域で理念の実現を目指しました。

 2016(平成28)年に現在の代表である泰甫氏が入社。18(平成30)年に哲氏の急逝に伴い、急遽4代目に就任することになりました。突然社業を引き継ぐことになり不安を抱えていたところへ、先輩経営者から同友会を勧められ入会。先代が掲げた経営理念が社員に浸透していないと感じていたため、くしろ支部の経営指針研究会「くすり塾」で経営指針づくりに取り組みました。1年間かけ成文化した理念は、先代のものに加え、新たに「変化に挑戦し続け、よりよい未来を作る」、「全社員の幸福と成長を追求する」を加筆しました。目まぐるしく変化する時代にあって、環境に合わせ事業を展開し、未来に挑戦する姿勢を示す一方、今まで会社を支えてくれた社員の幸せと成長を実現したいという想いを込めました。「114年の歴史を大切にしながら、社員が今後も幸せに長く働ける環境を整える責任がある」と語る泰甫氏。同社はこれからも変化に挑み続け、次の100年を目指し歩み続けています。