エステム社長(愛知同友会)の塩﨑敦子氏 札幌支部女性経営者部会総会で講演
2019年05月15日
女性も活躍できる組織へ
札幌支部女性経営者部会の2019年度総会が4月19日、札幌第一ホテルで開催されました。エステム代表取締役社長の塩﨑敦子氏(愛知同友会)が、「業界初!女性も活躍できる組織づくりへの挑戦」と題して講演しました。以下は講演要旨です。
■現場を目指す女性社員
当社は、排水処理施設の設計・施工・維持管理などを手掛けています。私は就職活動時に現場で働きたいという考えの中、当時専務だった会長から「当社は男女対等」と聞いて入社を決めましたが、始めはお茶入れやコピーなど現実はシビアでした。
1年半ほどたち、上司に直訴したことでようやく現場に出ることができました。女性だからできないということは口に出さず、力仕事はできる範囲で行い、できない部分は素直に協力を頼みました。一方で先輩が苦手な分野を勉強してサポートするなど、男性の中で特別扱いされないよう心掛けて仕事に励みました。
■女性優遇は望んでいない
その後、ある部署の中で女性チームが発足し、私と新入社員が配属されました。
しかし、ある男性社員は「自分がずっとやりたかった仕事なのに女性じゃないとできないのか」、新入社員も「女性だから選ばれたという目で見られるのがつらい」と話していました。
この件で私は男性、女性だからという性別ではなく、その社員自身を見て仕事を考えていかなければいけないと気づきました。
■女性幹部の育て方
ノミは、体長の150倍のジャンプ力があります。しかし、一時的に天井に障害物を設けると思い込みで本来のジャンプ力を失いますが、別のノミのジャンプを見せることで本来の力を取り戻します。
このように、近くに居る女性社員が管理職として活躍する姿を見せることで、自分もできるのではと思うことができます。実際に管理職の喜びや生き生きと働く姿が見えなければ、自分も目指したいとは考えません。ロールモデルを作り、それを社内で広げることで女性幹部を育てていくのです。
■社員が働き続けられる環境
我が社は、産休・育休から復職する女性社員はほぼ100%です。さらに最近は若い男性社員の育休取得も多く、3週間取得した社員もいます。また、小学3年生までを対象とした育児短期間勤務という制度は、ママさん社員の働きたいという要望を受けて創設したものです。
ただ、制度を作るのは簡単ですが、活用するための風土作りが必要です。我が社も育休制度は昔からありますが、社員が復職しているのはここ15年程度が現実です。風土を根付かせるには経営者自らが、活用を呼び掛け続ける必要があります。
そもそも、男女の性別の差は重要ですが、その人の個性の一つでしかありません。一人一人の個性を認めることが社員を育てることにつながり、社員全員が働き続けられる環境づくりを目指すことが大切です。
企業概要=本社・名古屋市。社員数434人。水処理施設の維持管理、エンジニアリング、環境ソリューションビジネス。塩﨑氏は2016年より同社初の女性社長。