気流
2025年11月15日
2025年版中小企業白書が公表されました。円安や物価高、30年ぶりともなる「金利のある世界」の到来で、「新たな時代」に直面する中小企業の課題が浮き彫りになりました。日本銀行の金融政策転換でゼロ金利政策脱却が現実となり、資金調達コストの上昇が収益を圧迫し始めています。借入金依存度の高い中小企業の金利負担増が経営課題として再び浮上しているのです。
白書が最も強調するのは「構造的な人手不足」への対応です。一時的な現象ではなく、少子高齢化による構造的課題として明確に位置づけられました。その解決策として、デジタル化による生産性向上や、賃金引き上げによる人材確保、適正な価格転嫁の推進が「三位一体の生存戦略」として提示されています。
道内でも、早くからデジタル化に取り組み、業務効率化と賃上げを両立させている会員企業があります。社員と共に課題を共有して解決策を見出す姿勢が、困難な時代を乗り越える原動力となっているのです。
こうした局面でこそ、同友会が提唱している「人を生かす経営」や「労使見解」の実践が真価を発揮します。白書でも「社員の幸せを中心とする経営」に注目しています。金利上昇の逆風のもとで、目先の対応に追われることなく、持続可能な経営基盤の構築と、働く人や関わる人のエンゲージメントを大切にする視点が求められているのではないでしょうか。共に未来を切り拓いていきましょう。
