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同友会は、中小企業の繁栄と、そこで働く全ての人の幸せを願い、地域社会の発展のために活動しています。

【講演録】学生との関わりが社員の意識を変える/板垣水道  代表取締役 板垣 一紀 氏 (山形同友会)

2025年08月15日

 当社は、米所である庄内エリアの真ん中の鶴岡市に位置し、従業員は6名の会社です。祖父が1954年に創業し、66年から管工事業に加えて、都市ガスの事業も始めました。仕事内容は設備工事が主で、上下水道、冷暖房工事のほか薪ストーブや再生エネルギー(木質バイオマス)事業にも取り組んでいます。

 同友会には2011年に入会し、13年までは例会等にはほぼ参加していませんでした。その年の望年例会に懇親会目当てで参加したところ、参加者は私以外みな経営指針をつくる会の修了生。指針をつくる会の受講を決めたのがきっかけで、例会等に参画するようになりました。目的は赤字からの脱却。「良い仕事をしていれば、仕事がくるし、儲かる」と父親の教えを守り、技術を磨くことに勤しんでいたのですが、なかなか赤字から抜け出せずにいました。

 経営指針をつくり自社の課題は社員教育だと気づいたものの、社員教育のやり方がわかりません。そこで、社員共育委員会に参加します。「10年後はどうするの?」と問われ、本当の課題は採用だと思うようになり、共同求人委員会に入ることを勧められました。委員になり、合同説明会や学内説明会にも参加しましたが、成果もなく、大学生ともうまく話せないありさま。仕事の価値をいかに伝えるか、我が社はどんな価値を提供できるか、働く目線の中で仕事の楽しさを伝えることの重要性を痛感しました。

 そして、山形大学の一年生を対象とした共育型プレインターンシップに参加することとなりました。しかし、我が社の現場の従業員は50―60代。世代間ギャップの大きさを心配したのですが、受け入れ準備をすることが、社員とコミュニケーションをとるきっかけになったのです。仕事のやりがいやプライドなど、一人ひとりの思いをあらためて聞き、社員とともに採用活動をしていきたいと思いました。

 我が社にインターンシップに来てくれたのは女子大学生でしたが、意外と世代が離れていてもコミュニケーションがとれることもわかりました。職人の方も人に教える楽しさを感じるなど、互いに良い刺激となりました。この体験から、実際の採用活動では、書類だけでは会社の魅力を伝えることが難しいため、直接学生と対面で対話できるチャンスを逃さないようにしようという気付きもありました。

 また、これをきっかけに、まずは自分達の仕事を知って欲しいという思いから、中学生を対象に水飲み場をみんなでつくる活動も始めました。人間の生活を支える仕事は、大企業だけでなく色々なものがあることや、どんな小さな仕事でも誰かの役に立っているということ、誇りを持って仕事をしている人がいることを知ってもらいたいのです。採用活動に直結しなくとも、これらを伝えることが大切だと考えています。

 21年には地元の高校を卒業した2名の新卒採用ができました。「失敗を恐れずに、とにかくチャレンジせえ」と伝えています。我々も若手社員の成長のために、繰り返し教えること、動画マニュアルなどを作成し学びやすくすることに力を入れています。我が社の採用活動は、ゼロから始まりやっとスタートラインに立てたばかりです。人口減少が加速し採用活動は厳しくなる一方ですが、諦めては会社の未来を諦めることになるので、いろんな手立てで取り組んでいきたいと思います。(6月17日、中同協共同求人・社員教育活動全国交流会第2分科会)

企業情報=本社・山形県鶴岡市。設立1979年。従業員6名。資本金1000万円。山形同友会庄内支部幹事。