気流
2018年11月15日
10月15日の臨時閣議で安倍首相は、消費税について2019年10月より8%から10%への引き上げを表明しました。今回の増税が経済に影響を及ぼさないよう、多数の支援策が検討されていますが、多くは最終消費者への支援です。
消費税率引き上げと同時に導入される、飲食料等の税率を8%に据え置く軽減税率制度は消費税の区分、経理処理が前提のため、小売業者は複数の税率に対応したレジやシステムの整備が求められています。特に飲食業では持ち帰り商品の判断に不安の声が上がっています。またキャッシュレス決済による増税分ポイント還元支援策は、企業にとって手数料増、資金繰りの負担が増え、キャッシュレス決済を取り扱っていない店舗では顧客離れの懸念もあります。
23年から同税制はより厳格なインボイス方式が導入され、仕入控除を受けるためには、あらかじめ税務署に登録を行った課税業者からのインボイス発行を受ける必要があります。インボイスを発行できない免税事業者は、経過措置期間はあるものの、仕入先として課税事業者から排除される可能性があります。
本来、消費税は企業を通過するのみで、負担を招くものではないはずです。経済活力の源泉である中小企業が、自社の魅力ではなく税制によって選択されてしまうのは甚だ疑問です。今一度、税の三原則である「公平・中立・簡素」に立ち返って、今回の税制について考える必要があるのではないでしょうか。