ヒトとクマ、適切な距離を/道北あさひかわ支部
2024年07月15日
オープン例会に各地から参加
道北あさひかわ支部空知中央地区会は6月7日、滝川市内でヒグマ学講座オープン例会を開催。旭川や富良野、札幌など各地から19名が参加しました。
「知ることから始めるヒグマ学~ヒトとクマの適切な距離を考える~」をテーマに、北海道滝川高等学校の長澤秀治教諭が講演。
長澤氏は、2023年5月の朱鞠内湖でのヒグマ事故を契機に、滝川市内でヒグマを含む野生動物のモニタリングを開始。自然環境に関する豊富な知識とフィールドワークの経験を基に、最新の調査結果や防除策について報告しました。
始めに、絵本「ヌプとカナのお話」をもとにヒグマの子育てや食生活、自然環境での暮らしについて学びました。
長澤氏は、都市周辺に生息し都市部にも出没する「アーバン・ベア」の増加背景としてクマの個体数増加や高齢化による農地・耕作地での人間の影響力低下を指摘。これにより、人とクマの生活圏が近接し、遭遇リスクが高まっており、さらに農作物や人間のゴミがクマを引き寄せる事例が多くなると提起しました。そして、「ヒグマと人間の接触を避ける対策が重要で、問題個体の駆除やそうした個体を増やさないことが大切」と強調しました。
またヒグマと遭遇した場合、ヒグマが人間を避けるための時間的・空間的余裕を作ることが重要であり、訓練されていない犬の同行やクマ除けの鈴の危険性も指摘しました。
会場には熊の皮や頭蓋骨も展示され、参加者はヒグマの大きさや鋭い爪、牙を実感。関心が高く、活発な質疑応答が続きました。