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【わが人生わが経営 155】北海道相互電設(株)代表取締役会長 東堂 明氏(78)(道北あさひかわ支部)

2024年07月15日



信頼重ね新分野進出

同友会活動が採用に直結



「転機は東京進出。大型工事にも携わり、実績が信用につながっていった」


 こう語る東堂さんは、約45年前にセキュリティシステム工事や電気工事を請け負う北海道相互電設(本社・旭川)を創業。現在は同社の代表取締役会長です。


 1945(昭和20)年、芽室町で生まれました。5人きょうだいの次男で、両親は農家。農業の厳しさが身に染みていた両親は、子どもたちに家業を継いでほしいとは考えず、自由な進路を応援してくれたそうです。


 東堂さんは地元の小中学校に通い、帯広三条高校で学んだ後、北海道産業短期大学経営科を卒業。68(昭和43)年に帯広市内の生命保険会社に入社し、社会人生活がスタートします。


 高校時代から「自分で商売をやってみたい」と思っていた東堂さん。サラリーマンとして働きながら、帯広市内で新聞販売店を立ち上げます。朝に新聞販売店、夜に保険会社の仕事に勤しむ忙しい日々でした。「新聞販売店が軌道に乗ったら、それ一本でやっていこうと思っていたけど、そんなに甘くはなかった」と振り返ります。基本的に休みがない仕事で、かつ冬になると新聞配達を任せる人がいなくなり、到底続けていけないと判断しました。新聞販売店を辞め、同時期に保険会社も退職。入社から1年が経った頃でした。


 次なる働き先に選んだのは警備会社の綜合警備保障(ALSOK)。69(昭和44)年6月に入社し、当初は札幌で働いていましたが、東堂さんと上司が旭川営業所の設立メンバーに選ばれます。
旭川営業所で数年間奮闘しながら、東堂さんは75(昭和50)年、家電製品販売と冷房設備工事を扱う会社を旭川市内で創業しました。


 翌年には綜合警備保障を退社し、自分の会社に専念します。当時旭川ではエアコン工事が普及していなかったため、歓楽街「36街」を中心に注文が相次ぎました。ただ工事代金を後払いにされることが頻繁にあり、そのまま踏み倒されてしまうようなことも。現金の回収に苦労して、事業の継続が難しくなりました。


 別の事業を模索する中、前職の綜合警備保障から「機械警備関連の工事をしてはどうか」と提案され、79年(昭和54年)に東堂さんは事業の転換を決意。これが北海道相互電設の始まりです。


 機械警備が普及し始めたばかりだったため、競合が少なく、順調に受注を伸ばしていきました。帯広と千歳に営業所を開設して勢いに乗りますが、道内では冬場の仕事がないというのが難点でした。そんな中、綜合警備保障から東京進出の打診がありました。


 通年で安定した仕事量が見込めるため、87年(昭和62年)に東京営業所(現・東京支社)を設立。東京での仕事が安定すると、さらなる要望を受けて2008(平成20)年に大阪、09(平成21)年に名古屋、11(平成23)年に仙台に営業所を置きました。


 道外に拠点を置いたことで首都圏ならではの大型工事にも参加。過去にはフジテレビ本社ビルの機械警備や、横浜ランドマークタワーのビル管理システムの工事に携わりました。こうした実績を買われ、メーカーの信頼をより強固なものにしていき、新たな仕事の獲得にもつながったといいます。


 その一つが、エレベーター設置工事に使う機器の点検整備でした。安全設備器具を管理し、据え付け工事業者からのオーダーに合わせて現場に発送しています。現在は「東京支社の主力事業にまで成長した」。


 東堂さんは自社の強みを「仕入れがないこと」と分析します。「工事業では資機材などの仕入れを含めて請け負うのが一般的だが、当社では発注者側が用意した製品で工事することが中心」と語ります。「2021(令和3)年から2年間、道内郵便局の照明器具交換工事を請け負っていたが、これも仕入れがないからこそできた仕事だ」と力を込めます。


 一方で、人材確保には頭を悩ませる場面が多かったようですが、同友会での活動が新卒採用につながったことがありました。「一時期、同友会メンバーとともに旭川市や近隣市町村の高校を積極的に訪問したことがきっかけで、実際に入社した人もいた。貴重な活動だった」と振り返ります。


 同友会へは1989(平成元)年に入会。自身と同じ芽室町出身の経営者から誘われたことがきっかけでした。異業種交流部会イコール倶楽部カムイを発足するなど精力的に活動。道北あさひかわ支部の相談役幹事なども務めました。


とうどう・あきら 1945年生まれ、芽室町出身。北海道産業短期大学経営科卒。
北海道相互電設=本社・旭川。1979年設立。道内外に拠点を置きセキュリティシステム工事や電気工事、エレベーター設置工事用機器の点検整備などを請け負う。