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国家論から見る民族問題と紛争/第72期同友会大学第14講

2024年05月15日

講演する宇山氏

 

 45日の第72期同友会大学第14講で、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授の宇山智彦氏が「国家論から見る民族問題と紛争」をテーマに講演しました。世界各地で民族紛争が相次ぐ中、その歴史的な背景を学ぼうと、今期初めてカリキュラムに加えた講義です。概要を紹介します。

 

 ―国家は神話や暴力、征服などで成立し、保護と権力を引き換えに統治してきました。しかし、市民が民主的に選んだ統治者が権威主義化する例も目立ちます。20世紀後半のソヴィエト連邦崩壊過程などで民族問題が激化し、百年・千年単位の歴史的な対立が強調されますが、自分たちの起源と他の集団との差異を強調するナショナリズムに引きずられている面があります。同時に、多民族・多宗教を強権で束ねる帝国的なシステムへの復活で民族問題を解決できるわけでもありません。

 

 国家は、本来一つであるはずの人類社会を分ける便宜的な単位です。その暴走を防いで国民の利益を守り、自国第一主義ではない理性的・協調的な国家体制を求めていくことが重要ではないでしょうか。