気流
2023年11月17日
10月1日から最低賃金が引上げられ、全国平均の時給は初めて1000円を超えています。パート労働者の就業調整で労働時間減少と人手不足に拍車がかかっている現実もあり、10月から政府は年収が一定額を超えると税や社会保険料の支払いが生じ、手取りが減る「年収の壁」への助成制度を設けました
働く人が扶養を外れる「106万円の壁」について、年収が概ね125万円を超えると手取りが増え始めるため、その水準まで賃上げしたり実質的に保険料を肩代わりする企業に、従業員1人あたり最長3年間、最大で50万円の助成金を支給するもの。次の年金制度改革実施までの暫定措置です
手取りに着目すると働き損のようですが、厚生年金への加入で年金受給が可能になり、女性の平均年齢から算出すると将来の受給額が保険料を上回り、地域経済にも波及します。2024年10月にパート労働者への厚生年金の適用範囲が「従業員51人以上」に広げられますが、手取り減少を嫌い就業制限しなくても安心して働ける環境を整えるには何が必要か
中同協では、社会保険料の事業主負担軽減助成制度創設など制度の総合的な見直しや、協会けんぽへの国庫補助率引き上げで中小企業の負担軽減を図ること、基礎控除や給与所得控除の引き上げで手取り収入の増加を図ることも政府に要望しています。まさに「どんな問題も中小企業の立場で考えていく」(中小企業憲章)ことが求められています。