気流
2023年02月15日
昨年12月の消費者物価指数は前年同月比で4%上昇し、41年ぶりの高い伸びとなりました。春闘の季節を迎え、インフレ手当の支給や賃上げに踏み切る大企業の報道も相次ぎます。
中同協は1975年に「中小企業における労使関係の見解」を発表し、経営姿勢を確立し明確な経営指針を作ること、従業員をパートナーと位置付け対等な労使関係を築くことを提起しました。労使問題に向き合い続けた経営者の苦悩と同時に、高度経済成長下で豊かになる社会の中で、従業員の生活・幸せに目を向けた宣言でもあったのではないでしょうか。
中同協のテキスト「経営指針成文化と実践の手引き」では、労使見解の精神を経営指針づくりに生かすよう述べています。しかし1970年代を社会人として過ごしていない経営者が会員の大半を占める中で、労使見解の精神と言っても体験に基づく納得感を得るのは難しいように思います。
物価高騰下での賃上げは、仕入価格と経費の上昇分を価格転嫁で吸収しつつ、生産性を高めて原資を確保するという難しい課題への挑戦です。この難局で経営者がどうあるべきか。今こそ労使見解が腹落ちする時です。
もちろん労使に関わる問題を全て企業内で解決することは不可能です。現場の声を集め、分析・整理し提起することも地域を守る中小企業経営者の役割です。同友会三つの目的の「よい経営環境をつくろう」にはそのような意味も込められています。