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景況感の先行き懸念/2025年10-12月期景況調査

2026年02月04日

         複合的な収益悪化要因をどう克服するか


北海道中小企業家同友会が四半期ごとに実施している景況調査結果(2025年10―12月期)がこのほどまとまりました。より多くの会員企業の経営状況を反映した調査にするため、今回から全会員を対象に実施し、5500社中584社が回答しました。(建設業118社、製造業73社、流通・商業90社、サービス業230社、その他70社)。この結果について、北海学園大学経済学部の大貝健二教授(中小企業論)にコメントを頂きました。(DI値は特に断りのない限り前年同月比、①―④は四半期)

25年第4四半期の業況判断DIは8.1を示した。今期から調査対象企業を北海道同友会全会員企業としたため、前回調査までの各DI値とは連続性がないことに注意が必要である。参考までに、日本銀行短期経済観測調査(日銀短観)では、今期の業況判断DIは17、日銀北海道分は15、中同協DORでは2という結果である。日銀短観の高水準に関して、大企業製造業では、関税政策をめぐる不確実性の低下や半導体需要の増加が改善につながったこと、大企業非製造業では、人件費などを販売価格に転嫁する動きが見られたことが指摘されている(2025年12月15日付日本経済新聞)。

 他方、中同協DORでは、「⾧引くコスト増や人手不足、金利上昇という多重苦を乗り越えるには、価格転嫁による収益確保が急務である」と指摘されているように、大企業と中小企業で経営状況が大きく異なっていることが明らかである。業況判断DIの次期見通しについては、3.3とやや悪化見通しとなっている。(図1)


 売上高や収益状況(採算)、業況水準の各DIに関しても、調査対象企業が変わったことで前回調査よりも高く出ているように思われる。しかし、次期見通しに関しては、いずれの指標も悪化見通しである(図2)。


採算の好転理由、悪化理由をみると、採算が好転した理由としては、「売上数量・客数の増加」、「売上単価・客単価の上昇」が顕著であるのに対して、採算の悪化理由は、「売上数量・客数の減少」、「人件費の増加」、「原材料費・商品仕入額の増加」、「外注費の増加」と複合的で、中同協DORが「多重苦」と表現する状況が本調査からも見受けられる(図3)。


 トランプ政権によるベネズエラ侵攻、日中関係や中東情勢の悪化など国際情勢が混迷を極めているなかで、いかにして収益を確保するか。「作業効率(生産性)の向上」や、「財務について勉強し、経営改善」、「自社独自の製品販売」、「社員の意識向上による生産効率アップ」といった企業努力で状況を改善させていることが調査からうかがえるものの、全体としてはコストアップ分を販売価格へ転嫁することは、やはりなかなか難しい側面がある。

とはいえ、先行きが不透明であるからこそ、学びを通じて中長期的な展望を描いていく、さらに地域に根差した中小企業として、地域経済の底上げを図っていく必要があるのではないだろうか。

 1月14日に行われた景況調査分析会議には、景況調査回答企業の参加もあり、これからの景況調査のあり方として、地域別分析の充実、特に可能であれば、振興局別の景況感を把握したいという声が上がった。自治体や他団体との情報共有に加えて、施策展開の根拠として活用できるのではないかという提案である。

 この視点は、「よい経営環境をつくろう」という同友会の目的とも合致するし、筆者自身が景況調査レポートの中で言い続けてきたことでもある。次回調査からは、回答数的に石狩、後志、渡島・桧山、十勝、釧路の各地域は、振興局単位で景況感を公表できるのではないかと考えている。
ただ、回答数が増えなければ、状況景況を正確に把握することは難しい。次回以降も継続的な調査への協力を期待し、景況調査を自分たちのものにして頂きたい。