【あの人に聞きたい! 4】川湯観光ホテル 中嶋 康雄 社長(くしろ支部)
2026年01月15日

始まりは、一枚の絵「森の中の温泉街」
私は弟子屈町・川湯温泉で生まれ育ち、東京に進学しました。20歳で帰郷した際、硫黄山と森が織りなす風景に心を深く打たれ、「この地を未来に残したい」と家業を継ぐことを決意。その2年後に地元に戻り、32歳で川湯観光ホテルの社長に就任しました。
しかし、全盛期には約13棟のホテルが並びましたが、宿も店も次々に減り、街の灯りが消えゆくのを実感しました。賑わいを戻すことが本当に川湯らしいのか?そう自問し、2014年に「森の中の温泉街」という一枚の絵を描きます。廃屋が増えるなら森に還し、自然と共生する姿こそ本質ではないかと考えました。仲間と意見を交わし色を加え、この絵を300枚コピーして届けて歩きました。川湯再生の物語は、この一枚の絵から始まったのです。
地域の若者と共に盛り上げたい
この絵を環境省にも持参し、16年には阿寒摩周国立公園が「満喫プロジェクト」の対象に選ばれ、遊歩道の景観整備と廃屋撤去が進みました。地域で描いた未来像が追い風になったと感じています。
当社ではコロナ過を経て、長期滞在向け「温泉ロングステイプラン」を設けました。川湯の静けさと殺菌効果が実証された強酸性硫黄泉に着目し、価値を見出す提案です。今後は、始まりとなったあの絵に、地域を担う若者が新しい未来を書き足し、共に盛り上げてくれることを願っています。
