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【1世紀企業 83】 菅原組(旭川市)

2024年10月15日

後列右から2人目が創業者の甚七氏

  
            誠意を持ち快適空間創造
             地域の未来を見据えて

菅原吉孝社長


 菅原組の歴史は、1916(大正5)年に旭川市旭町1条5丁目で創業者菅原甚七氏によって始まりました。甚七氏は宮城県古川市出身で、多くの職人を率いて北海道に進出し、地域密着型の建設業を立ち上げました。

 当時、北海道の厳しい自然環境に立ち向かいながら事業を発展させることは決して容易ではありませんでしたが、甚七氏は「ガンガン菅原」と呼ばれるほどの頑固で実直な信念を持ち、地域からの信頼を築き上げました。彼の努力と情熱が、同社の基礎を固めたのです。

 甚七氏の長男である正二氏は16歳で大工として働き始め、父と共に事業を拡大しました。1952(昭和27)年には北海道知事から建設業の許可を取得し、企業基盤をさらに強化しました。

 しかし、54(昭和29)年に甚七氏が急逝したため、正二氏が2代目の代表に就任します。その後、戦後復興の波を背景に事業は順調に成長していきました。

 70年代に旭川市内の電話局で大規模な通信障害事故が発生し、地域全体が大きな影響を受けました。事故は同社に全く過失はありませんでしたが、大幅な事業縮小を余儀なくされます。このとき正二氏は、大事な人材である多くの社員を他社に紹介し、彼らの仕事を守る配慮を示しました。同時期、3人の息子達を大学に進学させるために、正二氏は自分が若いころに使っていた大工道具を引っ張り出し、自ら現場に行き仕事をこなして頑張り続けました。この時期が108年の歴史の中で一番苦しい時期でした。

 63(昭和38)年には法人化を果たし、さらに92(平成4)年には鷹栖町に機材センターを設けるなど事業を拡大。正二氏の後を継いだ長男範明氏は95(平成7)年に3代目代表取締役に就任し、事業の成長を推進しましたが、99(平成11)年に政治の道を選び退任します。

 その後、次男康晴氏が4代目に就任し、2009(平成21)年に本社を現在の旭川市1条通10左10に移転し、札幌支店を開設するなど、道内全体へ事業を広げていきました。

 創業以来「誠意をもって快適空間を創造し、感謝の気持ちで地域社会に貢献する」という理念を守り続け、社員一人ひとりの成長を大切にしながら、建設業の発展に貢献してきた菅原組。特に、医療・福祉施設や商業施設の建設・改修において、高度な技術力と迅速な対応で地域社会からの信頼を得ています。

 20(令和2)年に5代目代表に就任した三男吉孝氏は、108年で築かれた数々の素晴らしいご縁、偶然の巡り合い、そして大切に育んできた人との繋がりを受け継ぎ、「人と自然にやさしい企業姿勢」を掲げ、持続可能な未来を見据えながら地域との絆を大切にした経営を続けています。

 技術と信念を次世代に引き継ぎながら、さらなる成長を目指しています。