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【1世紀企業 80】近藤商会(札幌市)

2024年04月15日

昭和22年頃の社屋(山田良一氏提供)

 

顧客に役立つ事業目指して

快適なオフィスを提案

 

宇佐美徹社長

 近藤商会は1924(大正13)年に札幌市で印刷道具の販売店として創業し、今年100周年を迎えました。

 

 創業者の近藤復三郎氏は、父新太郎氏の四男として1897(明治30)年札幌郡軽川村(現手稲区)に生まれます。病弱だった学校時代を経て自活の道を探っていたところ、新太郎氏のもとに日本アートプリンターから北海道での粘土版の販売を提案され、26歳の頃創業しました。当時の印刷は粘土版やゼラチン版を使って複写するというもので、印刷は苦労の連続でした。その後、東京からより質の高い印刷が出来る謄写版(蝋紙に鉄筆で書き込み穴をあけてインクを塗り広げ、用紙に絵や文字を写す)を社員が持ち帰り、これを機に主力商品を切り替えます。当時は、冬はソリ、夏はリヤカーを引いて商品を売り歩いていました。

 

 鉄道管理局、道庁など官公庁へ売り込むことで業績を伸ばし、1931(昭和6)年には「合資会社近藤商会」として法人化します。事務用品、雑貨、木工製品、薬品へと取扱商品も拡大。37(昭和12)年にかけて函館をはじめ樺太豊原、小樽、仙台、帯広に出張所を開設しました。ところが第二次世界大戦の長期化により各地の従業員が徴兵され、出張所は函館を残して閉鎖せざるを得ませんでした。

 

 終戦後の47(昭和22)年には、漁業や農業資材等を扱う朝日産業を設立。52(昭和27)年には同社との合併で「株式会社近藤商会」へ変更登記し、事務機への注力で販路を拡大しました。しかし官庁の入札は競争が激しく、機械類の高騰で思うように利益を上げられませんでした。そこで、仕入れコストを抑えて利回りの良い取引を進め、競争力のある海外製品を販売するなど営業体制を強化し、利益率を改善していきました。

 

 73(昭和48)年3月、復三郎氏が会長となり、2代目社長に森嶋茂夫氏が就任しました。森嶋氏は小売りへと事業を拡大し、「本と文具のブッキー」を札幌市内の平岸、元町、菊水へと出店します。ところが、森嶋氏は病気のため58歳の若さで85年(昭和60)年急逝します。

 

 86(昭和61)年に壽崎久夫氏が3代目社長に就任しました。官庁、学校、NTTなど従来の得意先に加え、病院など民間取引も進め、およそ26億円まで売上を伸ばします。 2000(平成12)年に石川欽一氏が4代目社長を継ぎ、この頃からオフィスリニューアル事業を展開しました。

 

 現社長の宇佐美徹氏は、同社と永く取引してきた内田洋行より11(平成23)年に入社し、翌年社長に就任しました。文具や家具の納品を主軸とした従来の業態を一変させ、現在はオフィス家具だけでなくICTを含めた働く空間の提案や、施工業者を取りまとめるマネジメントを行っています。宇佐美氏は「従来の業態では、大手ネットショッピングサイトなど手強い競合があります。そこで当社は時代の流れに応え、お客様とご一緒に最適な環境を作るオフィスコンセルジュを目指しています」と語ります。