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中小企業の立場で考える日本の税制~法人、経営者、社員、各々の視点から~/税理士法人アグス 代表社員 会長・税理士 千葉 寛樹 氏

◆外形標準課税と大企業の減資

 6年前の経営者大学で私は外形標準課税を話題にしました。赤字でも課税される外形標準課税は事業所の床面積や付加価値額、資本金などを課税ベースに税額が算定されます。当時は資本金額1億円超の企業への適用が大前提でしたが、段階的に資本金額を下げ課税対象を広くする議論があり「油断できない」と強調した覚えがあります。

 調べてみると、外形標準課税の対象法人数は2007年度から20年度にかけて3分の2に減少。01年の商法改正と05年の会社法制定を経て、資本金制度の柔軟化や減資手続きの緩和が進み、減資が多くなったことが要因です。資本金1億円以下への減資では株主資本に影響を及ぼさない無償減資が多く、特に財務会計上、資本金から資本剰余金へ項目振り替えを行う事例が多いと指摘されています。中小企業への課税対象拡大の懸念は、逆に大企業が減資して中小企業となり外形標準課税を逃れるという事態となりました。

 

 ◆法人税減税と消費税増税の実態

 与党は来年度税制改正大綱で賃上げ促進税制を検討中で、大企業で5%以上賃上げすると、30%を超える法人税額控除の対象になると報じられています。それでは、所得・消費・資産等の税収構成比の推移(国税+地方税)をみてみましょう。消費課税の比率は177%(1988年)から348%(2023年)にまで大きく増加する一方で、法人所得課税は343%(1988年)から22%(2023年)に減少し、税収のトップが消費税となりました。法人税の減税分を消費税が補ってきたとも言える中で、大企業の内部留保はこの10年でほぼ倍増し525兆円にまで達しています。この上さらに、賃上げ促進のために法人税を優遇するという政策は、果たして妥当なのでしょうか?

 私は、大企業の内部留保にのみ留保金課税を復活させてほしいと考えています。

 

 ◆留意すべき税制改正

 最近の税制改正で留意すべきものの一つとして、配当や株式等の譲渡課税(約20%)が非課税になるNISA制度(少額投資非課税制度)がありますが、投資促進・高齢化対策等として大幅に制度改正されました。241月以降の新NISAは、制度に終了がなく恒久化され、非課税期間は無期限で投資上限も大幅に増加します。金融商品としてのリスクはありますが、資産の分散投資、長期的視野での活用が可能です。

 二つ目に相続時精算課税で、新たに年110万円の基礎控除が設けられました。原則60歳以上の祖父母や父母から、18歳以上の子または孫に生前贈与する際に贈与者ごとに選択でき、同一人物からの生前贈与額が合計2500万円に達するまで贈与税なしで、超過部分には税率20%が課税されます。従来の暦年贈与方式から相続時精算課税方式への選択移行を促進させるという意図もあります。

 

 ◆30年の停滞打破のために

 物価高、金利上昇が顕著で、個人消費の先行きも不透明です。246月から4万円の定額減税が予定されていますが、消費行動は喚起されるでしょうか?日本経済30年の停滞を打破するには、その原因の〝逆張り〟、つまり、消費税減税が必要なのです。(2023124日、第9期経営者大学パート8)

 

ちば・ひろき=1950年札幌市出身。76年税理士登録。2004年税理士法人アグス設立。TKC北海道会顧問。