気流
2023年10月15日
先日、北海道主催の合同企業説明会参加のため、池袋を訪れました。アメリカの投資ファンドへの大手百貨店売却に対し、8月31日に業界で61年振りのストライキが行われた場所です
売却方針は昨年11月に公表されたものの、売却後の職場環境や雇用維持について説明が十分なされなかったとして、労働組合はストライキに踏み切りました。組合はストで雇用維持と百貨店存続を訴えましたが、投資ファンドは大手家電量販店への売却を決定。百貨店売場縮小に伴う社員の雇用はどう守られるのか。
厚生労働省の統計では、ストライキなどの労働争議の件数は年々減少しており、2022年は33件でした。1974年の9581件が一番のピークです。同友会型企業づくりの基礎となる「中小企業における労使関係の見解(労使見解)」は、その最中に発表されました。
「労使見解」では、労使間の問題は双方が対等な立場で徹底的に話し合い、労働組合があれば団体交渉で解決することを原則とし、「労使のコミュニケーションをよくすることは経営者の責任」と謳っています。この原則が生かされていれば、今回のストライキは起こらなかったかもしれません。
「労使見解」は労働組合の有無を問わず、経営者の経営姿勢と、労使の高い次元での信頼関係構築を問いかけています。改めて「労使見解」をはじめとする、同友会運動の先見性と普遍性を感じると共に、歴史的意義をかみしめた出張でした。