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【新年度経営戦略】昆布で漁業の未来を変える/保志漁業(広尾町)

2023年03月15日

乾燥施設や加工場の見学者に丁寧に説明する保志氏(中央奥)
保志弘一氏

 十勝最南端で太平洋と日高山脈に挟まれている広尾町は、漁業が盛んです。私は祖父の代から60年続く漁師の3代目で、高校を卒業以来20年漁師をしています。

 

 海洋環境の変化を受け、地元では沿岸漁業や「つくり育てる」漁業への取り組みも進んでいる中で、今も昔も変わらぬ形で堅実に続いている昆布漁に着目しました。昆布漁の収益性は高いとは言えず、採れた昆布はすぐに天日乾燥させるため天候にも左右されます。漁師の高齢化と働き手不足が進み、収量も減っています。地域にとって歴史や文化的側面も強い昆布漁を、現代の技術や他領域と関わる事で進化させたいと考えました。

 

 そこでまず導入したのが、乾燥機です。天候に左右されない人工乾燥システムを構築し、時間を有効活用した漁ができ、収量を増やせました。次に、高付加価値化を目指しました。出荷時に長さを揃えるために出る端材に注目し、研究機関と分析した結果、広尾昆布は短時間でも出汁が出やすい特徴を持ち、うまみ成分のグルタミン酸含有量が最も活かせる形状を特定。通常の2倍の速度で出汁が出る事を前面に出した、うま味調味料として「星屑昆布」を製品化。フレンチシェフからも高い評価を頂いています。

 

 昆布の乾燥施設や加工場では昨年200人の視察がありました。そこで、地域団体と連携して昆布漁体験など新たな観光メニューも開発し、地域活性化を目指しています。

 

 生産力の強化や高付加価値化、そして体験観光を柱に漁業のポテンシャルを最大化し、漁業の未来に変化と希望をもたらしたいと思います。