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気球による宇宙遊覧の実現に向けた取り組み/岩谷技研 執行役員CFO 中園 利宏 氏

2023年03月15日

 今日は、岩谷技研が具体的にどういったことをやっているのかご紹介します。我々は、成層圏の高度25㌔まで気球で皆さんをお連れして、地球の形と宇宙空間を肉眼で見てもらうことを目指している会社です。

 

 2016年に法人化しました。札幌の本社、江別の気球製作工場兼R&Dセンターのほか、代表取締役の岩谷圭介が福島県出身ということもあり、南相馬にも拠点があります。

 

 岩谷は、宇宙撮影で有名になり、テレビ番組に取り上げられたりしました。20年に初めてベンチャーキャピタルからの投資を受けることができ、本格的に有人で世界初の気球による宇宙遊覧を実現しようと舵を切りました。

 

 どのような旅行になるのか。気球は天候に左右される乗り物なので、決まった日に必ず飛べるわけではありません。

 

 ただロケットは一度中止になると、次の準備に23週間要しますが、気球だと23日後にはもう一度飛ばすことができます。

 

 我々は、気球を用いた宇宙遊覧フライトの実現を目指しています。気球は自転車ぐらいのスピード(時速15㌔)で地球から離れていく様子を見ながらゆっくり上っていきます。上空25㌔では地球の輪郭と宇宙空間が見えます。1時間ほど遊覧した後、ゆっくりと陸地または海上におりてきます。

 

 実現に向けては、自社で気球を設計・開発しており、昨年6月に宮古島でハムスターを乗せ実験しました。今後の予定としては、この春から夏には10㌔の高さまで、夏から秋には25㌔の高さまで、社員を乗せ実験を行う計画です。

 

 その後、23年度に2人乗り(1人パイロット、1人乗客)でサービスイン、26年度に6人乗りでサービス開始予定です。価格帯は2人乗りが1人当たり2400万円、6人乗りが1人当たり1000万円強を想定しています。ゆくゆくは20人、30人乗りで、1人当たり200万円を切ることを目標にしています。

 

 また、現在作っている気球にはたくさんの使い道があります。観測衛星のように成層圏で地上の写真を撮ることや、小型ロケットを成層圏まで運ぶ手段として使うこともでき、実際に共同研究を進めています。

 

 最後に事業計画について。当初は代表の岩谷が個人事業として行っていた宇宙撮影で数千万円の売り上げを上げる会社でした。20年の出資を受けて、完全に気球による宇宙遊覧旅行、フライトに事業を集中させ、宇宙撮影などの仕事の受注はストップしました。

 

 今は試験を重ね、23年度に宇宙旅行を開始し、その後は海外展開も見据えています。27年に450億円、28年に630億円という壮大な売り上げ計画を立てています。

126日、札幌支部江別地区会2023新春講演会)

 

企業概要=高高度ガス気球・旅行用気密キャビンの設計、開発、製造。2016年設立、資本金5億639万円、従業員数57名。