【新年度経営戦略】次代の担い手を採用／山﨑ワイナリー（三笠市）

2023年03月15日

　かつて炭鉱都市として栄え、人口が6万人を超えた三笠市。石油へのエネルギー転換で基幹産業を失い、現在は8000人を下回っています。

　当社の原点は農業です。技術革新、高付加価値化、自立経営を意識しながら、このまちの最西端の達布山で4代に渡り農業を営んできました。その努力が、2002年にワイナリー事業に結実しました。

　ワインは加水を必要としない唯一のお酒で、葡萄は栽培地の気候風土で育ちます。つまり当社のワインは三笠の風土そのものを瓶に詰めたものなのです。この風土をワインに置換して販売することで、地域課題の解決に寄与することを目指してきました。

　また、葡萄栽培から醸造、販売までの複合的な経営となるワイナリーは、地域の農業・製造業・商業それぞれに関わる機会があり、地域経済や地域コミュニティのハブとなる可能性を秘めています。

　家族5人でブドウ栽培からワイン醸造、販売まですべてを行ってきましたが、ワインがかつての炭鉱に代わる新たな基幹産業になるためには限界があります。ワイン造りを通して、この地域で次世代にわたり食と農、観光を中心とした人間的な循環型社会づくりを目指していきたいのです。そこで22年に初めて大学院卒1名を新卒採用しました。

　この新入社員には大学院で学んだ専門性を活かし、地域の未来を自分ごととして捉え、この地域に観光産業など新たなコミュニティを形成して欲しいと思っています。若い世代と共に空知エリアのワイン産業を盛り上げ、自社と地域を発展させていきたいと決意しています。