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同友会は、中小企業の繁栄と、そこで働く全ての人の幸せを願い、地域社会の発展のために活動しています。

障がい者雇用で地域も人も笑顔に~幸せの見える社会をめざして~/グラン・ブルー 代表取締役 石井 雄一郎 氏 (京都)

2023年02月15日

 

 私は1965年京都市上京区で生まれました。関西大学卒業後、アパレル会社を経て、祖父が営む京仏具の製造卸に就職しました。業務用水槽の維持管理会社が少ないことに気が付き、業務用熱帯魚の販売、水槽設計・施工を行うグラン・ブルーを95年に設立しました。

 

 取引先からの紹介で、2009年に京都同友会に入会。同時に障がい者問題委員会に所属しました。そこで、障がい者就労支援移行事業所の所長と知り合い、障がい者実習受け入れの依頼がありました。最初は断ったものの、所長に「本人を見てほしい」と強く押され、実習を受け入れることにしました。

 

 実習生は精神障がいを持つ男性でした。最初は緊張した様子で、お客さんが来るとバックヤードに隠れてしまっていました。1週間が経つと「いらっしゃいませ」が言えるようになり、1ヵ月経つと業務の準備や片付けなどフォローをしてくれるまでに成長しました。その後、彼を正式に雇用することになりました。

 

 障がい者雇用に向けて何をやるか、まずは会社を見学に来てもらい、どのような会社なのか見てもらうことが大切です。地域の中で経営を10年、20年と続けていこうと思うならば、安定した経営、周りの方から認めてもらえる経営、支えがいのある会社でないといけないと思います。

 

 私は同友会の「人を生かす経営」実践道場で、自己姿勢の確立について徹底的に議論し、重要なこととして3つの命を学びました。それは宿命、運命、使命です。何のために生まれてきたのか、どうやって生きてきたのか、そしてこの先何のために生きていくのか。この3つを考えなければ、綺麗な言葉で経営姿勢を語っても意味がないのです。

 

 私の実家は絞り染め工場でした。幼少期、桶に入った熱湯を頭からかぶり、大火傷を負いました。小学校のプール授業で、火傷の痕を見た同級生から怖がられましたが、そのうち「これが石井君の個性」と受け入れてもらえるようになりました。幼少期の経験から漠然と「障がいのある子どもたちを守りたい」と思うようになりました。これが私の原点だと気が付きました。

 

 自分の使命が明確になり、周りにいるハンディキャップを持つ子どもたちのために少しでも何かしようと考え、事業のやり方を変えました。「誰もが笑顔で暮らせる地域、社会を自分たちの力で創ろう」と会社の方向性を見直しました。

 

 人々を幸福にするにはどうしたら良いか。世の中の根幹を支える人、つまり中小企業で働く人をいかに幸福にするかで、世の中の幸福度が決まるのです。経営者は何をしなければならないのか。ひとりひとりの最適な働き方を考えることが必要だと私は思います。多様な個性・感性をいかに最大限引き出すか、生かせる職場をつくれるか、その環境整備が重要です。ここで、働きたいと思ってくれる仲間が集まれば、会社は最強の集団になれるのです。

1117日、2022障がい者雇用を通して企業づくりを考えるフォーラム)

 

 企業概要=業務用水槽設計施工・メンテナンス業、菓子製造業、障害者就労継続支援B型事業所運営など。1995年創業。従業員・正社員9名(うち障がい者3名)、アルバイト10名、利用者10名。