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【1世紀企業 73】村井建設(釧路市)

2023年02月15日

 

本宅前にて初代・佚之助氏と2代目・力氏家族

開拓者精神を受け継いで

未来に向け挑戦続ける

 

村井順一氏

 阿寒町雄別で創業し202110月に100周年を迎えた村井建設は、炭鉱産業の隆盛と共に歩み、林業、運輸、燃料販売等多角経営してきました。

 

 創業者の村井佚之助氏が秋田から大正6年に単身来道し、炭鉱開発に携わった後、大正10年阿寒町雄別炭山にて村井組を創立。炭鉱住宅の建設と坑道掘りが仕事の中心でした。昭和2223年の戦後復興時は、石炭の国内需要が急増し、増産に追われました。昭和22年に株式会社へ改組し、翌年には村井建設木材と改め、石炭鉱業を主力に建設業・木材業を併営しました。佚之助氏は「人と同じことはしたくない」とよく口にし、現在まで社是の「開拓者精神」として継承されています。

 

 炭鉱斜陽化傾向を見越して昭和28年に釧路市で丸井産業を設立し、石炭・石油等の燃料販売事業に着手。昭和29年新建材の製造販売を行う北海道ドリゾールを札幌で操業しましたが、変化の波は着実に迫っていました。日本は戦後の混乱期を乗り越え、エネルギー革命と言われる石油中心の時代を迎えます。昭和38年に本社を釧路へ移し、公共事業を柱とする経営に大きく移行。昭和41年には株式会社に改組しました。

 

 昭和46年に2代目の力氏が経営を引継ぎますが、同年に雄別炭鉱の雄別・尺別、白糠町茶路が閉山し、雄別鉄道も廃止されました。「人材こそ命。何よりも社員とその家族の生活を守る」ために、閉山後の仕事確保を急ぎました。その後、道からの公共事業発注も右肩上がりとなりましたが、時の経済状況に左右される中、人材確保も重要な課題となりました。

 

 現社長の順一氏は、土木建築会社の田中組札幌本社にて現場経験を積んだ後、昭和57年に村井建設に戻りますが、4年後にバブル崩壊に直面します。平成12年に社長就任後、「企業は歴史や伝統だけで通用する時代ではない」と考え、創業者の理念を土台に、会社のイメージを変えようとロゴマークを一新。社是や社訓を明確にするなど、自社や業界の進歩発展に取り組んでいます。また、釧路管内の建設業者として初となるISO140011996年版の環境マネジメントシステムの認証や、その他複数のISOを取得し、品質保証に加え、顧客満足の向上を目指しています。

 

 令和43月にはSDGs宣言を行い、地域貢献や働き方改革推進のための行動計画を策定。女性活躍推進の一環として、現場支援を行う建設ディレクター職やICT推進室の新設など、多様な人材が活躍できる環境整備を積極的に行っています。順一氏は「地域に根差し、困った時に頼りにされ、信頼され続ける企業でありたい。これまでの時代のうねりを乗り越え、その先に広がる未来に向け、飛躍への挑戦を続けたい」と語ります。