【レポート】北海道中小企業家同友会景況調査報告 (2022年10~12月期)
2023年02月27日
文責:大貝 健二
(北海学園大学経済学部 准教授)
【今期調査の要点】
・業況判断(前年同期比)の動向が北海道DORと他調査では異なる。(北海道DORのみ悪化)
次期見通しは同様に悪化。
・採算の水準は、Ⅰ期に大きく下がる傾向。今期(4期)はほぼ横ばい、次期はどう推移するか 要注意
・全指標:改善の力は弱い。次期は悪化。
→売上高はやや改善、採算はやや悪化/仕入単価は80オーバーで高止まり
一人当たり売上高は横ばいも一人当たり付加価値額で悪化。今期の特徴
・人手の不足感も高止まり:建設業とサービス業/100人以上規模/
→製造業で設備の不足感が急速に高まる(人手不足の反動か?)
・資金繰りも悪化する兆候があるか?:余裕感の後退/製造業とサービス業/20人未満、20~50人規模
・道東方面の景況感の悪化の要因はなにか?
・特別調査に関して、地域固有の課題、業種・規模による困難が見受けられる。
自由記述もシビアなものが多いが、これらをいかに政策委員会として活用するか。
「大企業製造業が4期連続悪化、非製造業は改善」(日本経済新聞 2022/12/15)
「サプライチェーン(供給網)の改善や販売価格へのコスト転嫁の進展から景況感が改善した業種もみられた。」「政府の観光促進策「全国旅行支援」や新型コロナの水際対策の緩和も景況感改善の後押しになった。」「長引く原材料高で、企業がコストを販売価格に転嫁する動きも徐々に強まる。」
「指標好転も23年は世界的不況の兆し、中小企業は高付加価値化に挑戦しよう」中同協DOR速報
「今こそ社員とともに経営理念(指針)にもとづいた経営を 『理念のブラッシュアップを計画しています。理念は社員も参加して作成したので浸透は100%できている。90年代に理念の浸透に悩んでいたことがウソの様です。事業継承のキッカケの合宿としたい(東京、ソフトウェア業)』」。
≪景況調査について≫
・景況調査は、回答者の意識・マインドを基に景気動向を分析する調査です。
・特に、同友会が実施する景況調査は、経営者の意識を反映するものであるため、景気動向がはっきりと表れやすいと言われています。
・景況動向、および「次期見通し」を自社の経営指針等の見直し等に活用してください。
≪DI値について≫
・DI値は、「良い」と回答した割合(%)から「悪い」と回答した割合(%)を引いた数値です。
・「良い」と回答した企業が多ければ多いほどDIは高水準で推移するが、その逆もしかり。
・景況調査では、(1)DI値の水準(プラスかマイナスか、また水準はどの程度か)、(2)前回調査からの好転幅、悪化幅の大きさを主に見ていきます。
・DI値の変化幅について
①1ポイント以内の場合:「ほぼ横ばい」と表現します。
②1~5ポイントの場合:「やや」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。
③10ポイント以上の場合:「大幅な」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。