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仕入高の販売価格転嫁が課題/2022年7―9月期景況調査

次期見通し、ほぼ全ての指標で悪化

 

 中小企業家同友会全国協議会と北海道中小企業家同友会が四半期ごとに実施している景況調査結果(20227―9月期)がこのほどまとまりました。全国では2168社中824社が回答。北海道では661社中204社から回答を得ました。この結果について、北海学園大学経済学部の大貝健二准教授(中小企業論)にコメントを頂きました。(DI値は特に断りのない限り前年同月比、①―④は四半期)

 

 北海道中小企業家同友会が実施した2022年第3期(7―9月)景況調査では、業況判断DI(前年同期比)は前回調査の58から19のやや悪化を示し39であった。売上高や採算などの主要指標は、いずれも改善基調にある。しかし、前回調査のように軒並み10以上の大幅な改善ということではない。また、次期見通しに関してはほぼ全ての指標で悪化見通しとなっていることにも注意が必要である。

 

 今期の景況感を「全国企業短期経済観測調査」(以下、短観)や中同協DORと比較してみると、本調査と中同協DORの景況動向はやや悪化であるのに対して、短観では改善と、その動向が異なる(図1)。円安基調によって景況感を悪化させる業種が多い中でも、輸出型企業にとっては追い風になること、大企業ほど調達品や原材料高を販売価格に転嫁できていることがその要因であると考えられる。

 

 

 他方で、中小企業では仕入高を販売価格に転嫁することが困難であることから、景況感を押し下げたと考えられる。また、今期調査においても仕入単価DIは高止まりしている状況であるが、原材料高、物価上昇のインパクトは次期以降さらに重くのしかかることが考えられる。

 

 そのほか、今期の動向で注視すべき点を4点ほど明記しておきたい。第1に、景況感を判断する指標のうち、売上高DIは109と水面上での推移であるものの、採算DIや業況水準DIはいずれも水面下での推移である(図2)。売上高が改善しているにもかかわらず、仕入価格の上昇を販売価格に転嫁しきれていないために利益が圧縮されている状況であると推察される。

 

 第2に、業種別に見た際に、景況感の悪化は製造業とサービス業で顕著。仕入価格の上昇は製造業に対して直接的に影響していると考えられる一方で、サービス業に関しては、「人手の不足感」が建設業を上回る結果となっている。1017日の景況調査分析会議においても、サービス業での人手不足が顕著であり、「仕事はあるが人手が足りないために回っていない」といったコメントが散見された。

 

 

 第3は、資金繰りについて。全体では余裕感が後退し、適正感が広まる結果だが、規模別にみると正規従業者数20人未満では、資金繰りDIが大幅に悪化しマイナスに転じている(図3)。コロナ関連融資の返済が始まっていることに加えて、思うように利益が出せないことによって、資金面でのやりくりに苦慮している可能性がある。

 

 第4に、地域的に見たときに、道北(旭川、北見)の各指標が軒並み悪化しており、他地域の動向とは大きく異なる。この地域差がなぜ生じているのか、根本的な理由を明らかにすることは今後の課題としたい。

 

 

 最後に、「今期の経営上の力点(自由記述)」をいくつかピックアップしておきたい。「物価上昇により給与を上げるが実際の仕事量は変わらず利益は減少。また人材不足で受注を抑えるしかなく当然売り上げは減少している。募集をしても応募が無く外国人実習生を雇用せざるを得ない」(建設業)、「同業者の廃業・倒産により競争が無くなったが、需要減少に困っている」、「事業再構築補助金(6000万)を使い、新商品開発から販売拡大に向けて展開して行く」(流通商業)といった、現状の苦境や新たな試みなどの記述が見られた(図4)。

 

 しかし、全体の自由記述の分量は前回調査の半分程度にとどまる。コロナ、政情不安、原材料や物価高など企業を取り巻く環境の激変に対応することで精一杯であると思われる。同友会として何ができるのか、改めて考え実践することが求められているといえよう。