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【講演録】同友会運動の歴史と理念に学ぶ/中小企業家同友会全国協議会 顧問 国吉 昌晴 氏

2022年10月15日

 

 戦後の復興を乗り越え、使命感を持って同友会運動を展開してきた先人たちの足跡からは、同友会理念の先進性・普遍性がみずみずしく伝わってきます。中同協と北海道同友会は共に今年で設立53年目。同友会運動の歴史と理念を振り返り、北海道同友会が果たしてきた歴史的役割もお話ししたいと思います。

 

 同友会の前身である全日本中小工業協議会は、戦後間もない47年に発足しました。戦後復興の担い手として組織の中核となった中小企業家たちは、「中小企業こそ日本経済の主人公である」という使命感を持っていました。労使見解の基礎となる考え方も既に掲げられており、当時から運動の先進性が分かります。

 

 57年の日本中小企業家同友会発足時の設立趣意書には、皆の声を聞き、自主的・民主的に運動を進めることが宣言されました。「中小企業家」としたのは、会社規模に関わらず会員一人一人が対等な組織であることを保証するためでもあります。大企業優先政策のもと、真の意味で中小企業の自主・自立を図る同友会運動の輪を広げるべく、関西・愛知・福岡・神奈川同友会が中心となり、続いて69年には同時期に中同協と北海道同友会が発足します。

 

 高度成長が終焉し、日本経済が低成長期に入る70年代には、同友会運動の基本となる理念が次々と確立され、80年代には組織的に大きな躍進を遂げます。北海道同友会が原案を提案した「3つの目的」や、労使見解、経営指針、地域に信頼される企業づくりといった、運動の根幹を練り上げる努力なくして現在の同友会運動はありません。

 

 90年代から今日に至るまで、バブルとその崩壊による経営環境の激変のなかで、同友会理念を確認しながら、中小企業経営が直面する課題をとらえて運動を進めていきました。中同協第25回総会(93年北海道)で宣言された「21世紀型中小企業づくり」や、バブル崩壊後に金融機関との共存共栄の関係性構築を目指した金融アセスメント法の大署名運動、そして中小企業憲章・条例づくりがその例です。

 

 同友会は、会員同士の学び合いと、それを地域に絶えず広げることを車の両輪にして運動を進めてきました。会員一人ひとりの変化と成長で組織は強くなり、組織づくりは地域づくりの展望になります。私たちはその使命感を未来へとつなぎ、学び合いの輪をさらに広げていきたいものです。

 

 北海道同友会は、共育や共同求人活動、会員増強、中小企業憲章・条例づくりにいち早く取り組み、全国に広めていきました。理念を語り、実践することが私たち自身の生きざまになります。北海道同友会が、これからも同友会運動の典型になることを期待しています。(912日全道役員研修会第1講)

 

くによし・まさはる=1943年美唄市生まれ。72年に北海道同友会事務局へ入局、74年から事務局長。84年に中同協事務局へ移り、事務局長、専務幹事、副会長を歴任。