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【1世紀企業 70】山キ越前屋商店(函館市)

創業102年目を迎える山キ越前屋商店の暖簾

 

 いわゆる「酒屋」が地域から姿を消す中、函館市で地酒とワイン、焼酎の専門店「酒ブティック越前屋」を営む合名会社山キ越前屋商店。今年で創業102年目を迎えました。

 

 初代の吉田喜太郎氏は福井県鯖江市から活況に沸く函館市に可能性を感じて移り住み、1921(大正10)年に現在の山キ越前屋商店を創業。2代目の惣助氏を福井県から呼び寄せ事業を拡大していきました。

 

 戦前はお酒の卸業として、戦後は小売業へと業態を変化させていきます。移住してまもなく喜太郎氏が56歳で亡くなり、31(昭和6)年に惣助氏が跡を継ぎます。

 

 当時の函館経済の隆盛は北洋漁業に支えられており、造船業や鉄工業、製材、製網業、食料品製造業などの発展を促しました。同社の店舗は北洋漁船の係留地に近かったこともあり、最盛期には船団相手にお酒だけでなく米や味噌、醤油なども売れ、「夜通しで商品の準備をしていた」と言います。

 

 戦中は戦火が函館にも広がりましたが、運よく店舗は無傷でした。しかし、燃料不足から北洋漁業の出漁は途絶え、商売が一変してしまいます。それでも惣助氏は、財産を不動産に投資していたことが功を奏し、戦後の不況を乗り越えることができました。

 

 84(昭和59)年に3代目として現代表の央(ひさし)氏の父である宏一郎氏が代表に就任。央氏は大学卒業後すぐに入社し、両親を手伝います。当時は酒屋がコンビニに転換し、スーパーでも酒類販売ができる自由化の波が押し寄せていました。「酒屋の存在意義が問われる時代だった」と当時を振り返ります。

 

 2013(平成25)年に、母の後を継ぎ5代目となった央氏は、地酒専門店の確立とともにワインの販売もスタート。ある時、お客さんから地酒の取り寄せを相談されたことがきっかけで卸問屋とつながり、それが縁で蔵元やワイナリーから、希少な日本酒やワインを仕入れることができるようになりました。

 

 より魅力ある店づくりのため、各地の同業者を視察して歩き、すぐに自社でも顧客管理ソフトの導入や品書きの作成を本格化させます。そして今ではSNSを活用し、LINE、アプリによる情報発信や、顧客の嗜好に合わせた商品情報をスピーディに提供できるようになりました。

 

 品揃えで力を入れているのは、ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)です。ワイングラスなど酒器も扱います。

 

 一時はコロナ禍で売り上げも落ちましたが、求める人に必要な情報が届く仕組みをつくったことで、この1年は過去最高の売り上げとなりました。

 

 お酒が売れない時代ですが、「これからも『お客様の満足から〝感動〟へのお手伝い』をモットーに一人ひとりの顧客ニーズに合わせて商品を提案していきたい」と展望を語ります。