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同友会は、中小企業の繁栄と、そこで働く全ての人の幸せを願い、地域社会の発展のために活動しています。

気流

2022年08月15日

 〝さんま、さんま、さんま苦いか塩つぱいか〟と綴ったのは当時29才の詩人佐藤春夫です。背景には谷崎潤一郎とその妻千代との複雑な関係があり、それを知って読むと苦いと塩つぱいがまた違った意味を持ち、読む人の心を震わせます。とはいえ、庶民の夕餉の食卓には皮の焦げた秋刀魚が似合い、鯛や平目ではこうはいかないでしょう。安価で栄養価も高く、「秋刀魚が出ると按摩が引っ込む」と江戸時代のことわざにもあるように、古くから日本人に親しまれてきた魚です。

 

 現在秋刀魚の水揚げ量は北海道が1位で、根室、釧路を中心に約4割を占めます。しかし、近年は不漁が続き3年連続で過去最低を下回り、それにつれて価格も上がっています。先日、初水揚げされたのはわずか24匹。11万円を超えて店頭に並びました。これから中型船の本格的な漁が始まりますが、どうもしばらく秋の味覚は高止まりになりそうです

 

 そんな中、釧路でつぶ貝を新たな特産にする動きが起きています。つぶ焼きは、釧路ではお酒を呑んだ〆のメニューとして定着しており、なじみの深い食材です。それを用いたカレーやコロッケ等の開発を行い、札幌のイベントにも参加するなど、積極的な展開をしています。地元では当たり前のことが実は地域の資源となり得る。北海道にはそんな可能性がまだまだ眠っています。その後ろには常に地元を愛し、支える中小企業経営者の姿があります。